July's July

July's July

2015.09.30
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 いつもは美人と出会ってもそんなに僕は心を動かされることはなかったのだが、今回はちょっとちがっていた。それは今年3月ごろに僕の初恋の女性が亡くなっていたからだ。その彼女はがんで亡くなったそうだ。これについて僕は僕なりの推論を重ねてきた。おそらく去年の同窓会に出席して、僕はそれに出られなかったので自分の書いているブログの紹介をはがきに書いておいたのだが、おそらくそこで僕のブログを知って読んだのかもしれない。そして僕の本当の気持ちを知って、それまでの彼女自身の人生を彼女は全否定してしまったのではないだろうか。だから生きる気力を失いがんに負けてしまったのではないだろうか。彼女は津軽の女性でとても情念の深い人だった。髪がちょっと赤っぽくてとても多くてソバージュみたいに縮れて長い髪でじっと僕を見ていた目が忘れられない。ちょっと悲しそうな目だった。

 その人が亡くなったのを知ってから僕はその人の面影を必死になって探していた。宮沢賢治のように北海道までさがしに行こうとしていたのだ。それが今回の北海道での仕事と重なっていた。

 初めてミス工場の彼女に出会ったとき、彼女は帽子を脱いで赤い縮れた長い髪を出して、じっと僕を見ていた。実際は誰かをさがしていたのかもしれないが、僕はなんだか睨まれているような気がしてどっきりした。そのときふと初恋の彼女の面影と一瞬重なった。ひょっとして初恋の彼女がまだ成仏していなくて乗り移っていたのではないだろうか。それにどういうわけかしらないが、なぜか僕の近くにその彼女は寄ってくる感じがした。休憩室でも休憩時間が僕と同じでたいてい一緒に休憩していたしなぜか僕の近くに座っていた。僕は別に話しかけるつもりはなかったのだが、いつも一緒なので逆に話しかけないほうが不自然みたいになっていた。実はそのころには僕はものすごく彼女に魅かれていた。







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Last updated  2016.06.27 23:42:40


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