July's July

July's July

2015.10.01
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 休憩室で何回か一緒に居合わせた数日後、たまたま廊下で彼女とすれ違ったことがあった。彼女は僕を認識して目であいさつをするような動作をした。僕はまったく予想していなかったのでとっさに対応できずそのまま通り過ぎて「しまった。」と思った。こういう場合女性は自尊心を傷つけられて殻に閉じこもってしまうものだからだ。せっかく心を開いてくれようとしたのにそのチャンスをつぶしてしまった。大学時代同じようなことがあった。コンパでお酒を飲んで同級生の女性たちと盛り上がった次の日、キャンパスを歩いていたら、つかつかと女性が寄ってきて、あいさつしたのに無視するなんてひどいわと僕に食って掛かってきたのだ。僕は眼鏡をかけていなかったので本当にまったく気づいていなかったのだが、そのことを言ってお詫びをしたのだが、彼女は「もう、いい。」といってぷいと行ってしまったのである。それっきり彼女とは一度も話すこともなく大学を卒業してしまった。北海道の砂川出身の人だった。そういう場合なんて言ったらよかったのだろう。いまだにどう対応したらよかったのか僕にはわからない。案の定、彼女もそれ以降廊下ですれ違っても何の反応もしなくなってしまった。僕が悪いのだからひたすら耐えるしかない。あのときちゃんと反応して目で合図するなりしていれば本当はスムーズに話しかけられたはずだったのだ。ちょっと人見知りで突っ張ってしまったのでとても困った。結局松橋さんの力を借りるまで回復できなかった。

 さて、話しかけてみようかななどと彼女にも聞こえるように言ってしまった手前、約束通り話しかけなければならなくなった。とはいえ話しかけるには隣か向かい合って座っているかでないと話しかけられない。なかなかそういうチャンスはなかったのだが、数日後彼女は冷蔵庫の横の椅子に腰かけて冷蔵庫の横に背をくっつけて休んでいた。ちょうど僕は冷蔵庫に飲み物を入れていたのでさりげなく冷蔵庫のそばに座って冷蔵庫を開けて飲み物を取り出して飲んだ。彼女はすぐ横にいた。今話しかけなきゃと思ったのだが、いざとなったら何を話しかけていいものかさっぱり思いつかなかった。でもとりあえず約束は果たさなきゃと思って話しかけた。「何時まで働いているの」と尋ねた。彼女は突然話しかけられてちょっとまごついた感じて「夜11時まで」と答えてもう一度丁寧に「朝の8時から11時まで」と答えてくれた。そこでもう少し話そうと思ったらそこに松橋さんが割り込んできて僕に話しかけたのでそこで彼女との会話は終わってしまった。まったく応援しているのか妨害しているのかわからない人である。でもとりあえずどういう形にせよ、話しかけるという約束はなんとか達成できた。彼女は近くの若い女の子たちと何か楽しそうにひそひそ話していた。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.10.02 02:59:08


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: