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2013.01.04
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2月15日(金)の本校(熊本大学教育学部附属小学校)の研究発表会で、4年ぶりに私も授業を公開する。この冬休みの間に、その指導案を作成するためにパソコンのデータを整理したのだが、以前のいろいろな資料が出てきた。

その中に、平成19年3月に開催された日本学術会議主催公開講演会「知識社会における教師の科学的教養と教員養成」におけて内田伸子先生(筑波大学監事、当時お茶の水女子大学副学長)が提案された資料があり、改めて読む。『生活概念から科学的概念へ「-高い専門性と子どもの認知的葛藤を洞察する力-』というタイトルであるが、その後半に次のように私の授業が紹介されている。

・・・・・

8.「知の受容者」から「自立した知の探求者」へ

 6年生の理科は原口淳一教諭は「語り合おう、わたしたちの環境」というテーマで、バランストアクアリウムをつくり自分たちの生活環境を見直すテーマに取り組んでいた。なぜビンの水を取り替えなくても水が澄んでいて魚が生きられるのかという問いのもと、水中の二酸化炭素の変化が視覚的にわかりやすくなるようパワーポイントを使って子どもたちは説明した。アクアリウムの中にバクテリアがいることを前の時間に理解した子どもたちは、バクテリアの働きについて調べ学習をしてきた。
 公開研究会の時間には、バクテリアが入ったビーカーと入らないビーカーの水の色を見比べ、試験紙を使って酸性度を検査した。全体会で、バクテリアの働きを討論しているとき、ある女児が「どうしてもわからないことがあるんだけど。インターネットで調べていたら、アンモニアが硝酸を経て硝酸塩になるって書いてあった。硝酸塩はどんなものでどんなことしているのかわからない」と発言し、硝酸塩に拘っていた。
 そこで教師はパワーポイントの水中の図を提示した。「硝酸塩」が水草の根の方向に矢印が描かれている画面を見せながら、「矢印をみてごらん」とヒントを出した。
 子どもたちは、「根の方に向かっているから、水草に吸収されているのかな」「毒じゃないのかな」「無害なのかな」「栄養じゃない?」「水草の肥料なのかもしれない。」と口々に仮説を述べ始めた。こうして女児の硝酸塩の働きについての拘りに端を発した疑問は、バクテリアを魚が出す排泄物や食べ物の残り粕から作られるアンモニアを分解して、硝酸塩という無害の、水草にとって栄養になる物質へと変えてしまうのではないかという仮説に収束していった。
 子どもたちは、「分解」の科学的な理解にはまだ到達していないとしても、バランストアクアリウムの生態系の連鎖システムをダイナミックな相互作用として捉えられるようになった。すなわち、バクテリアが魚の排泄物の有害なアンモニアを水草の栄養になる硝酸塩に変え、硝酸塩を栄養にして水草が成長する。水草は光合成をして酸素をつくりだし、水を浄化するという生態系の連鎖を理解したのである。どの子も「自立した探求者」として協働し創造的な学びをつくりだすのに貢献した。この授業は、理科室の黒板の上の壁に書かれた『みんなできまりを創りだす』という標語通りの素晴らしい展開であった。

 公開授業というと、ともすれば教師にとって都合のいい発言だけをとりあげ自分の目標計画、指導案にはめていく。しかし熊大附属小では違っていた。教師たちが取り上げる発言は優等生のものばかりではない。気になる子どもの発言は教師にとっても手に負えないこともあるに違いない。しかし、あえて取り上げる。「わかり直し」をさせるために子どもたちに「もどす」ようにしている。学びのリフレクションがいたるところで見られるのである。わかったつもりになっていても、このわかり直しの作業の中で子どもたちは自立的に探求する。子ども自身の探求心に導かれて、バラバラの知識がつながり、規則や仕組み、意味が了解されていくのである。こうして、小学校段階から、優れた教師に導かれ、支援されて、「自立した探求者」が育っていくのである。

おわりに

 教師は、子どもがつまづき、認知的葛藤を体験している、まさにその「瞬間」に子どもの内面を洞察し、子どもが伸びる「瞬間」を見逃さない。答えを全部あからさまにするのではなく、子どもに疑問を返し、わかり直しをさせる。子どもの反応への即妙な対応は、高い専門的知識に裏打ちされ、子どもの内面に起こる認知的葛藤を見抜き、葛藤を解消する手立てを与えることのできる「教育力」なしには実現されないのである。 (略)

・・・・・

「教師たちが取り上げる発言は優等生のものばかりではない。気になる子どもの発言は教師にとっても手に負えないこともあるに違いない。しかし、あえて取り上げる。『わかり直し』をさせるために子どもたちに『もどす』ようにしている。」 当時の「私」は、このことの重要性にどれだけ気づいていたのだろうか。(今振り返ると、内田先生に見ていただいた授業がたまたまそうであったのではないかとも思えてくる。実際、この後から「私」は授業リフレクションの取り組み始めている。)しかしながら、このことが私の授業の原点である。今年も、「見栄えのよい授業」ではなく、子ども一人一人に学びの起こる「しっとりとした授業」を目指していきたい。





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最終更新日  2013.01.04 15:50:43
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