LUNATIC

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2006.04.24
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カテゴリ: エッセイ
 もらった名刺がきらきら光っていた。どうやらインクにラメが混ざっているらしい。最近は色々な印刷がわりと安価で出来るようになって、名刺もなかなか個性的だ。


 そういう私も、少し前まで名刺に凝っていた。会うたびに
「名刺変えたんです」
 と、言って相手に渡す。まぁ、一応デザイナーとしては、最初に見せる作品になるわけなので、合成写真を入れてみたり、エフェクトをかけまくったり、と、そりゃまぁ気合も入ってたわけだ。しょっちゅう変えるわけなのでプリントアウトの名刺だったが、それでも、その名刺のおかげで仕事がとれたりもした。
 その中でも、一番ウケたのは「三角くじ名刺」だった。
「はじめまして」
 の挨拶の後に、いきなり名刺入れ(ったって箱状)から、バラバラと名刺を手の上にぶちまけ
「好きなのをおとりください」

 三角くじの表には「Please Open!」中を開けると、そこには「☆あたり☆」と共に「おめでとうございます。じゅんるなと一緒に仕事できます」と書いてある。で、オマケ程度に小さく住所等の情報。
 これには全員が驚いた。
 大笑いする人も、あきれてひきつる人もいた。なにしろインパクトは絶大だった。
 ただ、この名刺には大きな問題がひとつあった。
 もらった人の大多数が、そのまま打ち合わせのテーブルに忘れていくのだ。どうやら、三角に折り目のついた紙は、ほんの数十分の間にゴミとしか認識されなくなってしまうのだ。捨てられてしまいそうになったことも何度もある。
 名刺用の用紙を一枚一枚、真四角に切り、丁寧に角をあわせて三角に折る。なるべく痕がのこらないように、細心の注意を払って端のほうをホッチキスで留める。こんなにすごい手間をかけているのに、数十分で「もっとも捨てたい名刺」になってしまうのだ。これはやりきれない。
 それで、私はその名刺を使うのをやめた。

 しかし、今考えてみると
「最初のインパクトだけ強くて、すぐに捨てたくなる」
 その名刺.....やっぱりそれが、私にぴったりの名刺だったのかもしれない。
 などと、今の私の、さしてなんのへんてつもない名刺を持つ彼女のネイルサロンで飾りあげた爪をみながら、ふと思った。


 とびきり笑えて、気持ちよく捨てられて、
 でも、今度は、捨ててしまった後、たまに思い出して捨てたことを後悔するようなヤツを。





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Last updated  2006.04.24 09:41:34
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