現代の「落日燃ゆ！」

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2009/03/18

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テーマ：自分らしい生き方・お仕事(41179)

カテゴリ：人生・教訓！

キリスト教布教のために日本にやってきたフランシスコ・ザビエルが本国に送った手紙。

「この国の人々は今まで発見された国民の中で最高であり、日本人より優れている人々は異教徒の中では見つけられない。彼らは親しみやすく、一般的に善良で悪意がない。
　驚くほど名誉心の強い人々で、他の何ものよりも名誉を重んじる。
　大部分の人々は貧しいが、武士もそういう人々も貧しいことを不名誉とは思わない・・・」

日本人が最高で他より優れているという褒め言葉は別にしても、我々の先祖は名誉を重んじ、物や金に執着しなかったのは確かなようだ。

先日、東京裁判でＡ級戦犯として文官で唯一死刑となった広田弘毅をモデルとしたドラマ「落日燃ゆ！」が放映されていた。

現首相が総理大臣になるまでは、我が福岡出身で唯一の総理大臣になられた方だったので、興味深く拝見した。

広田弘毅は公判で沈黙を貫いたのは何故か？。

外国人の弁護士や日本人の弁護士から「このままあなたが黙ってると危ない。あなたが無罪を主張し、本当の事を言えば重い刑になることはない」としきりに勧められたという。

軍部や前の首相などに責任を負わせる証言をすれば、死刑を免れる事ができたのではないか。

広田は最終弁論を前に、弁護人を通じて「高位の官職にあった期間に起こった事件に対しては喜んで全責任を負うつもりである」という言葉を伝えている。また、判決が確定した後に広田に「残念でなりません」と語りかけてきた大島浩に対しては、「雷に打たれた様なものだ」と飄々とした表情で返答したという。

奥様も、当時の国粋主義団体幹部の娘という自分の出自が裁判に悪影響を及ぼすのを恐れて開廷前に自害されている。

（『ウィキペディア（Wikipedia）』の記事を引用）

この潔さは一体何なんだ。

失礼ながら、現首相を初め昨今の政治家はこの潔さ、死をも恐れぬ名誉心、そして誇りは皆無だろう。

いや、政治家だけではない。

現代の誰も彼も、こんな生き方はできないだろう。

こんな偉そうなことを書いている鍛冶屋の息子も、情けないかな昨今の政治家と変わりはない。

しかし、まだまだ誇り高く生きている人たちはいる。

ゲストの歌手が歌った後、優秀賞が二人選ばれ、チャンピオンになったのは、１６歳の盲目の少女だった。

その瞬間、会場にいた歓喜の家族の模様が流れていたが、おそらく御祖母様であろう方の涙が印象的だった。

私の推測にすぎないが、いかにも気丈そうなお顔を見て、この御祖母様は、ただ甘く優しいおばあちゃんではなかったのではないか。

私の思い込みかもしれないが、そんな気がしてならなかった。

１６歳の少女には大き過ぎるようなトロフィーが渡されたが、あろうことか司会者が「持って歌ってください」などと言ってしまった。

さすがに、横にいた大歌手北島三郎が「私が持ってあげよう」と助け船を出していたが、これに対し、驚くなかれ１６歳の少女は、きっぱりとこう答えたではないか。

「持って歌います」

最後に少女が歌う傍らで、壇上に上げられたお母様と御祖母様の流れる涙が止まらなかった。

１６歳の盲目の少女は、最後まで大きなトロフィーを持ったままだった。

少女が歌い終わった後、深々と壇上から御辞儀をされている御祖母様の姿が印象的だった。

まだまだ誇り高く生きている人たちはいる。

それではまた。

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