曹操閣下の食卓

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曹操閣下の食卓

曹操閣下の食卓

2006.02.26
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カテゴリ: ランチ
閣下は毎月、帝国ホテル地下・なだ万の「季節点心」を楽しみにしている。

一方で、「何だよ、これは」と不満もあるわけだ。

今月の料理は、だいたいよかったと思うが、薯饅頭の汁が塩味がキツかったな。
やはり塩味はデリケートだ。

今回の季節のメインは何といっても、梅粥だったのだろう。

閣下の家の近くの世田谷区羽根木公園には700本以上の梅林があり、白加賀やしだれ咲き梅、大宰府の飛梅など在来種ばかりでなく、新品種も植えられている。
金曜日に通りがかったが、まだ咲き始めで、花が開いている木は二割もない。
しかし、梅の香りは実によい。


なるほどという気持ちでいただいた。
これはかなり気合いが入っていると見た。
なかなかのものだ。

最近、いろいろな料理を食べてきて思うことがある。
同じ味だと「飽きる」ということがある。
特にアメリカ式料理だと、ハンバーガーやらステーキということになり、感覚の繊細さは微塵もない。
中華料理や中東料理は、いわゆる大皿料理。
技巧も繊細さもあるが、こってりしすぎている。メインは手が込んでいるが、主食の焼き飯に驚くようなことはあまりない。

その点、なだ万の梅粥は高級料理にふさわしい品格があったと思う。
塩味も非常に吟味した形跡があり、実に見事。
種を抜いた梅干をほぐして入れているが、これもまた普通の塩梅干ではない。

ほんのり甘く、実に上品な味わいである。
おそらく炒り子や香味などを工夫して独自に漬けたものであろう。

また、この粥には隠れた工夫があって、なだ万の出汁味をかけた部分があり、蓮華匙の一口ごとに違った味わいが楽しめるようになっている。
これはなかなかのものだ。

最近、フランスのミシェランでトゥールダルジャンが2つ星から1つ星に降格されたことがニュースになっていた。

同じ味だと飽きるのだ。
星を1つ落とした理由は、ミシェランの評価を深く分析せず、接待やサービスの改善と向上に今ひとつ努力が不足していたことだろう。
食材の肥育管理そのものも改善が必要であったと思う。

しかし、トゥールダルジャンの最も大きなハンデは、「アメリカ式料理」と誤解されつつある位置にあると思う。
ステーキと同じ種類の料理と分類されつつあるのだ。

フランスの高級料理の傾向が日本料理に影響を受けているのは間違いない。
日本人の料理人のレストランが続々と星1つを獲得している。
これはミシェランの評価基準が軸足を動かしていることの証左だ。

曹操閣下がトロワグロやポール・ボキューズの料理について思うことは、やはり「一口ごとの味の計算」がしっかりと積み重ねられているということである。
料理の提供温度はもちろん、歯ごたえなど食感も計算されている。
このような料理人の「計算の重視」が明確に伝わることが、高級料理としての品格になっている。

フランス人は数学が好きな国民である。
数学者は詩人のように尊敬される。貴族も数学を愛する。
グルメ評論家も経歴を見ると数学者が多い。
フランスのベンチャー経営者も理数系だから数学の素養はあるわけである。

したがって料理の中に数学が見えること。
これが最近のフランスの高級料理の最高評価につながっていると思う。
例をあげれば、3つ星レストランの「ミシェール・ブラス」はまさに数学料理の典型といえよう。
これは何の変哲もない普通の食材を一つ一つ最適の調理法で仕上げてある。
見かけは何でもないのだが、口に入れたとたんに
「これはすごい手間がかかっているな」と実感させられるのだ。
食材一つ一つが素材に最適な味付けがされている。
味が違うのだ。
ソースもドロッとかけない。
つまり、別々のフライパンなり鍋で調理されていることは明らかだ。
温野菜数種類も、煮方や食感が細かく計算されている。
それが一つの皿に、いっぺんに最適の提供温度で出されるのだから、
「これは手間がかかっているなあ」と実感するわけだ。

数人以上の料理人が両手に鍋を抱えて、仕上げ時間が同時になるように料理をやっているわけ。
これは相当な訓練と時間の計算、そして料理人たちの呼吸がピタッと合わないと一つの皿にこれだけの味と食感を盛り込むことができない。
まるでサーカスの空中ブランコようなものだ。

これが数学料理。

なだ万の梅粥は和算料理といっていいだろう。





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Last updated  2006.02.26 09:08:34


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