国民と天皇と大日本帝国

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2007.01.11
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 主権に関しての審議を部分的ではあるが見てみたい。

 第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、日本国民の至高の総意に基く。

 Article I. The Emperor shall be the symbol of the state and of the unity of the people, deriving his position from the sovereign will of the people.

●「枢密院 第1回 審査委員会(1946年4月22日)」の主な発言概要

※「内閣総理大臣説明要旨」後の審議

○幣原総理大臣:本案は御諮詢と同時に一般に発表し、与論の賛成を確めてゐる。諒承を乞ふ。又、極東委員会でとり上げて居り、微妙複雑なり。故に特に秘密慎重を要す。
 本院の審議が外部に洩れる様なことがあると、国内のみならずマツクアーサー元帥の地位にも関係あり。波及する所大なり。

○小幡顧問官:英文をみると、主権と明瞭にある。故に主権は国民に移つたと見なければならぬ。憲法上諭によると、今迄は天皇にあつた事は明かである。

○小幡:本草案の修正は実際において出来ぬ事になるか、議会の修正とGHQ、極東委員会、対日理事会との問題如何。


○竹腰顧問官:英文と日本文とどつちを原文と考へるべきか。
 松本:日本文なり。両者の相違は今后も調整の要あり。

○野村顧問官:本草案は主権在民と思ふ。天皇はpeopleの一人で、stateのSymbolなりと解する。

○河原顧問官:国体は護持されてゐるか。第一条があればよいと見るか。
 松本:天皇が国民の中心にある。仰いで以て尊敬する中心にあると云ふのが眼目なり。むしろ日本は天皇が立憲的に行動されたため今日の悲運にあつたともいへる。先方はさうは考へない。故にこの実質を或程度はつきりさせて誤解を避ける要あるべし。
 河原:象徴を中心と改めたい。

○美濃部:政府が原案を出すからかかる屈辱的案になる。国民の代表たる憲法審議会でやればもつと尊重されたる事にならぬか。

備考 政府側出席者
幣原総理大臣、松本国務大臣、入江法制局長官、佐藤法制局次長、井手法制局第一部長、渡辺、佐藤法制局事務官


●「枢密院 第2回 審査委員会(1946年4月24日)」の主権関連の主な発言概要

○遠藤顧問官:我国は歴史的にみても、その他の点からみても、君主に主権ありと信ずるが草案は如何。


 政治的には民主国なり。主権は国民にある。
 第一条において天皇は国の象徴なる為、象徴たる天皇に主権があると云ふ説も成立せぬわけではあるまい。しかし適当ではなからう。

○遠藤:政治的意味の主権は、基本でなく主権の運用の問題であると思ふ。草案において主権は天皇が御一人でおもちになつてゐるものでないと云ふ事丈は確かなり。故に従来と異なることとなる。

○松本:法律的構成論は政府は申上げられぬ。学者にまかせるべき問題なり。故に私見としては国に主権ありと考へる。

○遠藤:草案に主権の所在をかけと云ふてゐるのでない。消極的に天皇に主権なしと考へられるやうな字句を除けといふのである。しかし議論になるからこれで打切る。




 枢密院の審議では大きな変更は出来ない、また「国体護持」が不完全だがGHQにそれをあまり主張するとGHQの立場もあり薮蛇になる。

 「議会の修正は法律上出来る」は国民が選ぶ「衆議院」での審議の意、故に国会審議の前に衆議院総選挙が必要とされた。

 主な問題は主権が天皇となっていないことであり、遠藤顧問官は天皇主権を明確に出来ないのであれば主権の在り様を曖昧にする事を望んでいる。

 枢密院で可決され天皇が国会に提出した「憲法改正案」に於ける「主権」は、
 「前文」の「自国の主権を維持し」と、「戦争の抛棄」に於ける「国の主権の発動たる戦争」に表れるだけ。

 美濃部の主張する「国民の代表たる憲法審議会」は興味深い、
 国会で審議される憲法案を「政府」「議員」「政党」でもなく国民が作るを主張している。





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最終更新日  2007.01.11 22:50:24
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