徒然なる日々

徒然なる日々

2007年04月05日
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今度研修をすることになっている某日本の官僚的大企業(仮にA社とする)とのやりとりにはいろいろと考えさせられる。

コンサルタント、講師としては、今までの経験や専門知識を総動員し、受講生のためになるように研修をデザインしてスライドを作る。もちろんその過程ではクライアントと話し合って、一緒にいいものを作っていく。

ところがA社の場合は、作成過程での話し合いはほとんどない。そしてこちらが作ったものに対しても、最初はまったくコメントがなく、あるいは「完成度が高い」というコメントだけが来る。そのコメントに基づいてこちらが最終版を作成して送っても1週間は音沙汰なし。そしてそれから、「定義から変えてほしい」「このキースライドは全部削除」「演習を変えろ」などと、単なる改善の範囲にとどまらず、全部一から作り直すことが要求されるような指示が来る。そう、これは先方からのインプットではなく「指示」という形でくる。こちらが専門家として意見を述べてディスカッションすることは許されない。

そして、また興味深い傾向だと思ったのは、クライアント担当者が、我々コンサルタント(3人で担当している)に、ネガティブなフィードバックをするときには、必ず、わが社の社長にCCを入れるということだ。これは「先生に言いつけてやる!」的な発想なのであろうか。

この会社は「長いものに巻かれろ」「事なかれ主義」がぴったり当てはまる官僚的組織であり、不祥事を起こして世間を騒がせた。今回の研修はそういった不祥事が起こらない組織に変えていくために、従業員一人一人が責任意識を持って組織をよく変えていこうと思えるようにするために企画された。なぜこの組織が変われないのかは、クライアント担当者達との一連のやりとりではっきりわかったような気がする。自分が責任感を持って自分の頭で考えて提案したことは、すべて「クライアントからの指示に従え」「上司からの指示に従え」という理由で一方的に潰される。これが何度も繰り返されると、「もういいや。自分が何を言っても、変えようと努力しても、潰される。長いものに巻かれていたほうがらくだ」という発想になる。

私の担当箇所はかなり時間をかけてデザインし、受講生のためになる非常にいいものを作り上げたと自負している。クライアントからも「完成度の高いものを作り上げて頂き、ありがとう」といったコメントをもらっていたので、これで行こうと張り切っていた。
しかし昨日「キースライドは全部削除。クライアントが作ったスライドを使うこと」という指示がきた。しかもその理由は「全体像を示すスライドが2種類あると受講生が混乱するから」。私が作ったスライドは「スキルが仕事の成果にどうつながるか」を示したもので、クライアントが作ったスライドは「スキル相互の関連・連携図」であり、まったく観点が異なるため、違うものとして説明すれば受講生が混乱することはない。という理由、提案をクライアントに伝えたら、社長にCC入りで「クライアントの指示どおりにしろ」というメールが来た。そのほかにもたくさんあって書き切れない。

やはり最終的には我々ベンダーはクライアントからお金をもらっている立場なので、クライアントの指示に従わなくてはならない。たとえそれが受講生のためにならず、組織改革にもつながらない、無意味な内容だとしても。

受講生のためにならず、自分の成長にもつながらない仕事には、まったくモチベーションが沸かない。まして、クライアントを、人としてもプロフェッショナルとしても尊敬できない場合は、なおさらである。


1.お金のためだと割り切って、自分の頭で考えることを放棄し、クライアントの言うとおりに仕事をする。
2.この仕事を引き受けない。

現実的な案としては、今年はすでに契約済みのため、1のアプローチで行う。自分の頭で考えることは、自分の成長のために引き続き行うが、それをクライアントにどう伝えるか、あるいは伝えないかは注意深く判断しながら行う。

そのとき、クライアントのためになるように、受講生のためになるように、この企業がよくなるように、といった目標設定は一切しないこと。そういう目標設定をすると、実現するためのいろいろなアイデアを潰されるときにものすごい怒りを覚えるから。
こういったクライアントの仕事をストレスなく、しかもモチベーションを維持しながら行うためには、目標設定は「自分自身」におくことがキーである。

1.コンサルタントとして自分個人の頭を鍛えること
2.講師として講義のスキルを上げること
3.典型的官僚的日本人像を覚え、アメリカで研修をするときのネタにすること
4.こんな会社の社員でなくてよかった、と改めて自分のおかれている環境がいかに幸せであるかを実感すること
5.ネゴシエーションスキル研修の講師として「難しい相手への交渉」のネタ(成功例、失敗例)を集めること
6.1週間ぶっ続けの研修なので、ここでまとまったフィーを稼いでおき、残りの時間は、無報酬で行っている活動に力を入れること。(NPO団体での異文化コミュニケーション研修やコーチングなど)

8.怒りをコントロールする良い練習場として捉える。

この仕事は、敢えて自分がいちばん嫌い、かつ軽蔑するタイプの人達を取り揃えて、自分のスキルや人間性を磨く訓練なのだと捉えよう。そうすれば、クライアント担当者達が腹立たしい言動を取っても「これも訓練のひとつ。私のためにそういう言動を取ってくれてありがとう」と思えるだろう。





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最終更新日  2007年04月06日 08時21分21秒
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