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2009.05.03
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LA BOHEME



(つづき)-4-

この映画はオペラ・ファンを対象にしたのではなく、むしろオペラをあまり知らない人々をオペラに誘うことを目的としているらしいことをどこかで読んだ。そういう意味で、あくまで音楽が中心にあって、映画の写実とは違うというオペラの持つ性格と、映像が主である映画を上手く融合させているのではないかと思う。

ムゼッタ役はニコル・キャベル。この人は美声で素晴らしい歌手なのだが、ごく一般的観点で言うなら、決して美人とは言えないかも知れない。アフリカ系アメリカ人で、コリアンとコーカサスの血も混じった東洋系の顔立ち。どなたかのレビューに「何もあんな顔の歌手を使わなくても」というのがあった。しかしそれは映画的見方であって、オペラはまず歌(声)ありきなのだ。事実ボクの好みの顔ではないのだが、それでも彼女を見て・聴いているうちに、ムゼッタという軽薄だけれど心根の優しい女性が、歌声・音楽を通して、演じるキャベルの顔の中に見えてくる。これがオペラの見方なのであって、写実だけを求めてはならない。初心者をオペラに誘うためには、こういうオペラの見方を促すことも必要だ。映画的な写実や美男美女を期待してオペラを観に行ったら失望してしまうだろうから。

実はこの映画、第一幕のロドルフォ、ミミそれぞれのアリアや2人の二重唱から、観て(聴いて)いて涙が滲んでしまった。そして終幕のミミの歌ではもう涙ボロボロ。同じ物語を普通の映画で見ても、あるいはオペラ『ラ・ボエーム』を劇場で生で観てもボクが涙を流すことはまずないだろう。プッチーニの音楽は甘美で、人の声の持つ力は大きい。音だけをCDなどで聴いている時には涙もありだ。つまりこの映画が「音楽を聴く」ことを阻害していない。

ストーリーをネタバレ承知でちょっと(オペラというのはストーリーを知っていて観るものだ)。1930年代ルイ・フィリップの七月王政のパリ。売れない詩人・劇作家のロドルフォとお針子ミミの二人が恋に落ち一緒に暮らすようになるが、ミミは肺病を病んでおり、貧乏ゆえに何もしてやれないロドルフォは不甲斐なさからミミと上手く行かなくなる。別れれば金持ちに囲われることだってできる。そんな二人は愛しながらも別れる。

(つづく)






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Last updated  2009.05.03 09:23:28
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