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車筆太

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2005年10月24日
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カテゴリ: 書籍
 見世物というと何を連想するだろうか?
 「かに男、狼女、蜘蛛男、蛸娘、牛男、・・・」、はたまた、都市伝説がらみのダルマ女、『 フリークス 』『 悪魔の植物人間 』『 怪奇!吸血人間スネーク 』などの映画の題材にもなっている畸形、小人などだろうか。少なくとも、私の中の「見世物」観とは上記のようなものだった。
 しかし、『 江戸の見世物 』で取り上げられているのは、細工見世物、種々の曲芸、舶来動物、生人形などだ。これらは近世後期(特に文政期以降)の江戸庶民がみな愉しんでいたものである。本書によれば、「鬼娘、蛇女、蛇小僧、熊女、熊童子なら近世後期になかったわけではない」が、「それは近世後期の江戸における見世物全体のなかでいうと、実際には一部であり、興行の中心的な存在ではない」のだそうだ。
 つまり、江戸後期の見世物と近現代の「見世物」の様相とは、全く異なるのだ。これは見世物に関する言説の出発点ということになる。何故それほど異なるのか?本書は、それに応える書ではないので、長い年月の経過と近代化として簡単にまとめられている。私にはこれに答えるだけの知識がないので、これからの課題としたい。
 以前、 鶴岡法斎 唐沢俊一 との対談本『 ブンカザツロン 』の中で、「椎名林檎を語るのは簡単。モー娘。を語ることこそ重要なのでは?」云々と言っていたが、本書はこれに応えるものだといえる。「学問」(未だそれが存在するとして)とはこうでなければいけない。大衆文化の表層部をそれとして扱う手際は、試行錯誤の余地を大きく残しているが、見世物を語るための基本書といえよう。
 本書のあとがきで示されているとおり、見世物を語るための裾野は恐ろしく広い。本書が発行されたのが5年前。今、果たして見世物研究の最前線はどうなっているのか、最新の成果が気になるところだ。
 本書の著者のホームページを見つけたので、興味のある諸氏は ここ をクリック!本書では見られなかったカラーの見世物絵も見られます。
 下記の画像は ここ





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最終更新日  2005年10月25日 02時02分19秒
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