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車筆太

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2005年12月20日
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カテゴリ: 書籍

        つづき・・・    消えたマンガ雑誌

 マンガの興隆は劇画、少女マンガといった分野の細分化を催し、現在その多様性は全体に目配せできないほどの極致に達していると言える。当然、それに伴い出版点数も増加する。

 このような状況は、マンガの表現方法を含めた豊穣という意味では意義がある。反面、 「読みたい」ものが読めないという状況 を生む。永江朗が何度も自著その他で述べているように、これは出版業界全体の構造的な問題でもあるのだが・・・。

 また、 「読まれるべき」ものが読まれないという問題
 昨日のマンガは安価ということと矛盾するようだが、 値段が高価だったり (例えば、 『石ノ森章太郎萬画大全集』 などは全12期・500冊で617400円(税込) 、しかも1期・42冊の51450円(税込)ずつの一括予約注文しかできない。かつての文学全集のような売れ方でもするというのだろうか?)、 未収録であったり (シリーズ中の未収録エピソードということではなく、例えば、最近収録されたが石ノ森の『 くだんの母 』のように)、折角収録されても 手に入りづらかったり 楳図かずお の完全復刻版 「姿なき招待」「続姿なき招待」 が欲しいんだけど、書店でまだ見てない。)する。

 これは「 大衆化 」「 進歩 」「 マニア化

 細分化の果ての マニア誌 、マンガ界の先鋭となる 実験誌 というものがある。
 「マンガとは何か」を問う編集方針の反映をどう捉えるかは、上記の諸問題とも関係する。
それは、前衛的な実験が独りよがりの自意識過剰に陥る可能性があるといった話ではなく、マニア誌・実験誌 の登場はマンガの発展の途上での必然なのだから、マンガ本来の持つ「大衆性」 (大衆消費社会のなかで娯楽としての品物が販売ルートに乗って大衆に広く流通することなどが考えられるが、実は日本文化におけるマンガの受容という大問題を含んでいる。一先ず、ここでは辞書的な意味としておく。) に鋭く対立するというもっと大きな視座に立ってみていく必要がある。

 それはさておき、『 ポップコーン 』(アメコミへの憧憬から生まれ、アメコミの翻訳版と日本人マンガ家による描き下ろしを同時に掲載、そのため両開きという実験誌。それ以前にもアメコミを紹介する雑誌は存在した。例えば、『 セブン8増刊 』など。しかし、別冊などではなく刊行した意義は大きく、後々アメコミが市民権を獲得する契機となる。)や『 まんがジャパンダ 』( 鶴田謙二 の表紙と連載に幅広い執筆陣が魅力だったが、4号で終刊。『 月刊 タッチ 』を思い起こさせる。)なんかは読んでみたい。

 また、『 アクション増刊 コミック麒麟様 』なんてのもいい。別冊なら同時刊行として継続する可能性が高いけれど、増刊となると 単発もの であるから、書店から最も「 消え 」易い。
 実際、増刊号を今買おうとするとなかなかに困難である。

 こうやって様々な雑誌を見てみると、やっぱりマンガ雑誌の表紙はマンガがいいと思うようになってきた(私の蒐集している40年代半~50年代半の「実話系」エロ雑誌なんかは、完全に文字と女の人との組み合わせだけれど)。例えば、蔵書から一つ。

漫画OK

 どうです。カッコイイでしょ。小さいから分かり難いかな。本書でも紹介されている『 スピードコミック 』などはグラビアとマンガの融合を目指すという実験をしているが、やっぱり軽い。
 表紙だけを並べてみても、未だに楽しめるもののほうがいい。古雑誌を買う時のコツも、表紙から受けるフィーリングである。貸本に関しても同じことが言える。貸本の表紙は出版社ごとに特徴があって面白い。雑誌も表紙は顔なのだから、個性的であって欲しい。






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最終更新日  2005年12月20日 23時50分15秒
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