りじょん

2004.12.28
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銀魂編13




 井上さんが肉に夢中になっている一方、こちら、翠さん。

 志村家に夢中になっていた。

「うわーうわーうわー!!」

 日本家屋。
 180度、何処を見渡しても、まぎれもない日本家屋。

 元が道場であるためか、床の間には真剣が飾られていたり。

 ……もちろん、生粋の江戸家屋ではなく、電化製品が鎮座まします銀魂ワールドではあるのだが。

「ふふ、散らかっていて申し訳ないのですけど、ゆっくりしてね」

 お妙さんはそう言って、翠さんを客間に通した。
 おかまいなく、と翠さんが正座したところで、

「アレ、姉上、お客さんですか?」

 と、障子の向こうから声がした。

「あら、弟だわ」

 お妙さんは膝を立てて障子を開けた。

「新ちゃん、帰ってたの?」
「や、ちょっと忘れ物が……買い物じゃなかったんですか?」
「それが、ちょっとひったくりに遭ってね」
「ひったくり!?」

 翠さんには声しか聞こえないが、それでも弟――新八が、その時考えたことはわかった。

 ――何と勇敢な引ったくりだろう、と。

「真撰組に新しく入った女の子に助けてもらったのよ」
「あぁ、それで少し機嫌が良いんですね~って、真撰組!?」
「近藤さんじゃないわよ」
「当たり前でしょうが、いつからあの人が女の子に、ってか呼んだら出てきそうで怖いんですけど!!」

 会話を耳にした翠さん、思わず机の下を確認する。
 (誰もいないや…ちぇっ)

「新ちゃん、新しい隊士の女の子にお世話になったって言ってたわよね?」
「えー、まー、お世話になったって言い方は便利なものですよね」
「いいから、さっさと礼を言いなさい」
「この場合、礼を言うべきかは不安ですけど…」

 新八が、障子向こうから顔を出そうとする。

 彼の頭に浮かべている『新しく入隊した女の子』は、つまり井上さんである。
 だから翠さんは慌てた。

 (やっべ、嘘がばれる…!?)

「先日はどうも…ってアレ? 貴方…は…」

 翠さんにおざなりに頭を下げた新八は、それを再び上げて、きょとんとした。
 ぎこちなく微笑みを張り付かせる翠さん。
新八はこっそりと障子の向こうに消えた。

「…姉上、人違いじゃないですか」
「あら、そう? でも真撰組の人よ」
「そら、隊服来てますし」
「えぇ、副長の人と一緒に見回りしてたし」
「へーじゃあ決定的…って、えぇぇ!!」

 お妙さんと話していた新八は、首を大きくグラインドさせた。

「ひ、土方さん直属、とか…!?」

 あわあわし始めた新八に、翠さんは首をふった。
 (直属直属……そうです、と言いたい…!)
 縦に――
 (……でも、怯えられてるしなァ)
 そして、結局横に。

「いえいえどうも、わたくし、会計方の山崎翠でっす!」
「会計…あぁ、えっと、志村新八といいます」

 腰低く、挨拶を交わす二人。

 翠さん、万事屋関係者との遭遇に成功。

「じゃあお茶でも入れてきましょうか」
「えぇ! イヤ、僕が入れてきますから!!」
「何、必死な顔して。それに第一貴方、待たせてるんじゃない?」
「あ――」

「新八ィィ! 何ちんたらやってるアル!」

 玄関から届いた声に、翠さんはぴくりと耳を震わせた。

 (あの語尾は…!!)





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Last updated  2020.01.18 18:20:17


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