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2017.03.11
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カテゴリ: 音楽




会場は、横浜みなとみらい大ホール。初めてだ。
ステージの上には巨大なパイプオルガン。客席は360度ある。左右には3階席も。立派な音響ホールだ。開演前、楽団員が思い思いに音を出してるステージのあちこちにマイクが立っている。ライブをレコーディングするようだ。N響のホームグラウンド=NHKホールは多目的ホールなので音がよく響かない。だから、ここで録音するんだろうな。

曲目は、武満徹とマーラー。チャレンジングな選曲だ。指揮はおととしN響の首席指揮者に就任したパーヴォ・ヤルヴィ。1年前にベートーヴェンの第9を一貫したアップテンポで演奏したのを聴いて度肝を抜かされたのを思い出し、ワクワク感が高まる。

ノーネクタイのタキシード姿で現れたパーヴォ。まずは武満徹の「弦楽のためのレクイエム」。弦楽器が奏でる繊細な不協和音が印象的だった。

そしてメイン・ディッシュのマーラーは、交響曲第6番「悲劇的」。生演奏で聴くのは初めての曲だ。管楽器、打楽器がステージ上段に居並ぶ大編成だ。この日のために、この曲のCDとDVDで聴いて予習をした。CDはジョージ・セルが1967年にクリーブランド管弦楽団を振った伝説的なライブ・レコーディングだ。演奏時間は73分39秒。超ド級のアップテンポの演奏だ。DVDはクラウディオ・アバドとルツェルン祝祭管弦楽団が2006年のルツェルン音楽祭で演奏したもの。こちらの演奏時間は85分9秒。ジョージ・セルより10分以上長い。このへんがクラシック音楽の面白いところだ。どちらも誉れ高い名演奏。これらを聴き込んだ私の耳にパーヴォ&N響はどのように響くだろうか?

バーンスタインが「ナチス軍の行進」と例えたマーチから第1楽章が始まる。テンポは速い。ジョージ・セル並みだ。N響がその指揮によくついて行っている。大編成の管楽器、打楽器が吠える。マーラーは、よくまあこんな大オーケストラの交響曲を作ったものだ。
ここで予習では知りえなかった場面に遭遇する。なんとチェロが旋律を弾かず、弓を弦にたたきつけているのだ。チェロを弦楽器ではなく打楽器として使っているのだ。押尾コータローがギターのボディーを叩いてリズムを取ったり、リー・リトナーが演奏の合間にピストル音のようなパーカッシヴなアタック音を奏でるのと同じことをやっていたのだ。マーラーのアバンギャルドな大天才ぶりに改めて脱帽。
第2楽章はスケルツォ、第3楽章がアンダンテ・モデラート。最近の解釈では、この2つの楽章を逆に演奏するのが通常となっているようだが、パーヴォはかつての演奏順をとっているのが興味深かった。

演奏時間は76分。セルより3分長い演奏時間だった。かなりアップテンポのマーラーだった。

名演だったのかどうかはよくわからないが、生で聴いて改めてマーラーの6番の破天荒な前衛性に感服した。ベートーヴェンを逆手にとり「歓喜から悲劇へ」という哲学を、交響曲という形式で表現したのだから。ベートーヴェンがヘーゲルやマルクスの弁証法的な哲学が下敷きになっているのに対し、マーラーには、ニーチェやサルトルの実存主義的な影響が色濃いと見た。私としてはベートーヴェンより、マーラーの立脚点に親近感をおぼえる。もちろん苦悩を超えて歓喜に至りたいけど、そうはうまくいかないのが人間の現実だと思う・・・・。ま、こんなことをコンサートの帰りがけに居酒屋で酎ハイを飲みながらあれこれ思索するきっかけを作ってくれたパーヴォ&N響の演奏は、たぶん名演だったのだと思う。

マーラーという天才作曲家に敬意を表して一句。
     「 マーラーや  実存の声  聴きし春  」





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最終更新日  2017.03.11 17:51:35
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