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2018.07.07
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カテゴリ: 音楽





グレコ、モーリス、フェルナンデス、HSアンダーソン、ディ・アンジェリコなどのブランド・ギターを設計してきた 椎野秀聰の作ってきたギターの設計裏話から、彼の設計哲学、大手ギター・メーカーの成り立ちと特徴、アコースティックギター・エレキギターの歴史などの興味深い話が詰まっていて、一気に読破した。

椎野氏は、自らをサウンド・デザイナーと称し、そのアイデアの源は、自分の中でいつも鳴り響いている音を聴いてみたいという欲求から湧くと言い、その目に見えないサウンドをメーカーや楽器職人と共有し、具体的に説明するのが仕事だと言う。
ふ~ん。抽象的だけどなんかわかる。だって現に幾多の名器を製作してるんだもの。


私が18歳の頃、人生で初めて買ったギターはグレコのストラトキャスター・モデル。これも 椎野が設計したギターだったことを知った。そのギターにはギタリスト=成毛滋の実演カセットテープがついていたのだが、そのこともこの本で触れている。
グレコのエレキギターの設計とプロデュースを担った彼は、長野県にあるギター工場に親交のあるギタリスト=成毛滋を連れて行き工員たちの前でグレコのギターを弾いてもらい、その後「こんなギターが日本にあたらいいな・・・」といった具体的な改良点を話してもらったのだそうだ。頑固一徹の職人も成毛のド迫力の演奏に圧倒されて工場を挙げてその要望をきいたという。ふ~ん、アイデア・マンだよね。

ギターメーカーの話も面白かった。
マーチンの創始者であるフレデリック・マーチンは家具職人の息子としてドイツに生まれたが、当時ギルド制を敷いていたドイツで楽器ギルドに加わっていなかったため、ギターを作るにはアメリカに行かざるを得なかったのだそうだ。ふ~ん。ギブソンはイギリス。グレッチはドイツ。エピフォンはギリシャ。ギルドはポーランド。アメリカのギター・メーカーの創始者は皆移民なんだな。
椎野が3大ギター・メーカーの音をこう例えている。
マーチン:厳格で頑固な職人の声
ギブソン:大柄な体を揺すりながらガラガラ声で早口で話す職人の声
フェンダー:茶目っ気のある発明家の声
なんか面白いよね。ギターの音を擬人化するという発想がユニーク。

ギターにとっての「良い音」とは何かという話がとりわけ興味深かった。その部分を引用。
「ギターの弦をポロンと弾くと、耳には1つの音にしか聴こえないが、実はたくさんの倍音成分が隠されている。では、倍音成分が豊かなら『良い 音 』なのか?現実の楽器が発する音は厳密に整数倍の周波数にはならない。微妙に音高(ピッチ)はズレている。しかし、この揺らぎ
、歪みこそが 『良い 音 』の必須条件だと思う。・・・・そうした不完全な音であるからこそ、ギタリストはタッチ(歪みのコントロール)によって独特のムードを創り出し、人間の声のように歌うことが出来る」
なるほど。ディストーションこそが『良い音』の条件なのだ。同様のことを、フィル・アップチャーチや、KISSのヴィニー・ヴィンセントも言っているのだそうだ。 ギター設計家でないと言えない事だよね。

この本を読んで、改めてギターってアナログな楽器なんだと思う。何もかもがデジタルな現代に背を向けてるよね。ギブソン社が倒産するのもうなずける。うれしくないけどね。

さあ、 フィル・アップチャーチのメロウなジャズ・ギターでも聴くとするか。

最後に一句。  「  高中の  ディストーションや   夏は来ぬ  」





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最終更新日  2018.07.07 16:31:58
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