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suzu1318さんコメント新着
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毎年夏の強い日射しの中を歩くといつも思い出すことがある。
…その頃、父の会社を手伝う形で働いていた母と私。
昼でバスでひと足先に家に帰る母とお昼ごはんを買いに出る私。
日差し照りつけるアスファルトの道を並んで歩いた。。。
結婚していたけれどその頃の20代の私は日焼け止めを塗る習慣も帽子を被ることも
増してや日傘を差すことなど何も考えずにいた。
でも化粧っけのなかった母も記憶の中では春が終わる頃から天気の良い日は必ず
白い布の日傘を差していた。
私は並ぶ低い家や軒の日陰を選びながらややジグザグに母の横を歩く
逃げようのない日向に出ると、必ず母の日傘が私の方に傾く。。。
今までは気にならなかったのにその日に限り
母がほとんど日傘の恩恵にあずかれていないことが気にかかり
“ええよ”と言って日傘を母の方に傾けるがまたすぐうすい影が私の方に傾く
まだまだ遮光率の低かったあの頃の日傘ではそう日射しを防げていたとは思えないし
小さな日傘に2人が光から完全に守られる事も絶対になかった。
少し気分やなところがあった母。
会社でこれまた自分勝手な父ともよく衝突して他の働く従業員の前でもお構いなしに喧嘩していた。
子供の頃から怒ると無言になる母が嫌いだった
あの夏の日ふと…
“そう言えばお母さんて機嫌悪くてもいつもこうやって日傘を私に傾けてくれてるなぁ”って思った。
いままでとは違う母に対する感情が私の中に芽生えた瞬間だった
“ありがとう。お母さん”恥ずかしいよな消えそうなうすい文字で心に刻んだ。
翌年の2月、母に進行性の胃癌が見つかり
“どうしても妹が嫁に行く位まで。あと5年生存を”と主治医に懇願し手術するも
その願いも叶わずわずか10ヶ月後その年の冬に母は逝ってしまった。。。
・・・
あれから20年近い時間が流れ・・・
今はネ。。。色とりどりの日傘があってねー
残念ながら私には日傘を傾けてやる子はいないけど…
私ね!緑色でかわいい花の刺繍のある日傘を差してるよ。。。
お母さん…見えますか?
本日の笑顔… 88点