2015.01.26
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カテゴリ: 読書




図書館から借りてきていた本が期限切れ間近。

慌てて読んでいます。

就職活動もしているのですが、今、書類審査待ちなので、、、。

これでダメだったら、また、ハローワーク通いです。

さて、最近、連城三紀彦のお勧めと

評判の良いミステリーを交互に読んでいます。星

瀬戸内寂聴 『美は乱調にあり』の次が

『ハリー・クバート事件』。




ジュネーヴ生まれの作者が、アメリカを舞台にしたという変わったミステリー。

作者ご自身はミステリーのつもりはなかったようですが、謎が謎を呼ぶストーリー。

まさか?純文学のつもりで書いたわけでもないでしょう。

主人公は、第一作が爆発的に売れ、時代の寵児となった後スランプに陥った青年作家。

本が書けない、、、と嘆き、大学時代の恩師 大作家であるハリー・クバート教授に電話をかけて泣きつきます。

教授は環境を変えるように助言し、快く自宅に招いてくれます。

主人公は、滞在しているうちに書斎である秘密の小箱を開けてしまいます。

そこには、三十三年前、三十四才だったハリーが、なんと十五才の少女と恋愛をしていた証拠となる

写真や手紙が入っていました。

そして、その少女が行方不明になったと知ります。

その直後、庭に花壇を作ろうとしたハリーと庭師が、



勿論、嫌疑はハリーにかかり、主人公は恩師の疑惑を晴らすために調査を始めます。。。

と書くと

暗い小説を想像されるかもしれませんが、

時々、クスッと笑えるユーモアにあふれた小説です。

なんと言っても、主人公を含め、  アホ 大笑い

(ちなみに私は西日本の人間です。罵倒語は東西で使われ方が違いますので念のため 星

この「アホ」という言葉、作中にも幾度も出てきます。

主人公は、成績も良く、運動神経もそこそこ。ルックスも良いため、

高校では上手に立ち回り、なんとか「できるやつ」と周囲に認識してもらい、

綱渡りのようなことをしながら生きてきた男。

学内のクラブ活動でも大会でも

強い相手がいる所は画策し、避けて通ります。

大学はハーバードもイエールも入学資格を得たけれど、

そんな秀才ばかりが集まるところで埋もれたくない!と

二流大学を選びます。

そこでも上手に生きていこうとしていたところを、

教授であったハリーに看破され、手荒な手段で教え諭され、道を切り開いてきたという経緯があります。

そう、もともと器が小さくて、流されやすい人間。

だから、人気者になった途端、ハリーを顧みなくなり、困ったら助けを求めるだめっぷり。しょんぼり

長所は勇気と思い込みの深さでしょうか。

これはちょっと、と思われる状況でも飛び込んで行く蛮勇。

一度決めるととことん追求する粘り強さ。

でも、前に書いた通り基本が「アホ」ですから、

重要なことを聞き忘れたり勇み足で爆走したり。

そこのところが絶妙な平衡感覚で描かれていて、

主人公をただの「鼻持ちならないスノッブ」にしていません。

こんな登場人物が一所懸命に生きている、リアルに作中を動き回っている

パワフルな小説です。

所々、ミステリーとしては整合性に欠けますし、

これは無茶、と思うところもありますが、

とても力強いです。

作中、「名作」「大傑作」と言われる小説の抜粋とされる

文章が出てきますが、

それがたいしたことないのもご愛敬。手書きハート

古今東西、そんな設定の文章や作品が説得力を持っていた例は

数えるほどしかありませんので、見逃してあげて下さい。

私は、連城三紀彦と、ルース・レンデルくらいしか成功例を知りません。星

どちらも、ミステリー以外でも成功している作家ですし、

後者に至っては、純文学では食べていけないから、、、と推理小説を書き始めた作家ですので。

まあ、最後の最後まで犯人は分かりませんでしたし、


事件を巡る人間関係、出版業界の丁々発止、アメリカの法曹界、これらがややカリカチュア化されて


描き出されていますが、登場人物が生き生きとして魅力的です。

なんだか、自分を含め、

やっぱり、「アホ」がいないと世の中つまらないよなあと思った作品です。大笑い





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最終更新日  2021.01.09 12:06:15
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