グランマの手料理レシピ

2023年02月16日
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カテゴリ: 野菜料理
​ 安くて美味しい白菜をたっぷり使った炒め物です。
相性のよい豚肉と白菜を炒めて梅と味噌で味つけしました。
梅味噌のほどよい酸味でご飯がすすみます。

​​ 豚肉と白菜の梅味噌炒め


​​
白菜         400g
豚バラ肉(薄切り)   150g

【合わせ調味料】梅干し   2個
        味噌    大さじ1
        みりん   大さじ1
        酒     大さじ1/2
        醤油    小さじ1

片栗粉    小さじ2
サラダ油   大さじ1/2

1.白菜の葉はざく切りにし、軸は繊維に沿って長さ5cm、幅1.5cmの棒状に切る。

2.【合わせ調味料】を混ぜ合わせておく。

3.豚バラ肉は長さ5cmに切り、片栗粉をまぶす。

4.フライパンにサラダ油を熱し、豚肉を炒め、色が変わったら白菜の軸を入れ、色が透き通ってきたら葉を加える。

5.【合わせ調味料】を加えて炒め合わせま、葉がしんなりとしたら器に盛る。

​ ※白菜は多いかなと思っても炒めると丁度よい分量になります。​



ブログ連載 長編時代小説 ​​ 密かごと
​第3章 板前たち​

​5.佳乃と真吉​

お盆の藪入りで梅乃井は、さちと佳乃だけになり、いつもより遅い朝餉をすませた。
さちが庭の植木に水をやっていると、真吉が普段通りにやってきた。
「あらっ、どうしたの?」
休みだというのに、真吉は大工のような出で立ちだった。
「ちょっと、修繕を思いついて」
「えっ?」
さちが驚いて聞き返すと、
「家の外壁の板がはずれているのに気づきやしたんで」
真吉は照れ臭そうに笑った。
「まあ、そうだったの」
さちは気づかなかった。喜八という年寄が辞めてしまい、外廻りの仕事をしてくれる男手がいなくなり、代わりの者を雇おうかと思っていたところだった。
「せっかくの、お休みを」
「いえ、いいんです」
清蔵親方の病気で休みをもらったので、真吉は盆休みは返上するつもりでいた。親方が井原屋で働きはじめたという鉄治からの文が届いたばかりだった。
真吉は物置から梯子を出すと、金槌で外壁の板に釘を打ちはじめる。
「助かるわ!」
さちは声を掛けてから家に入った。

真吉が来てから料理の味が安定し、客の評判も上々だった。食材の切り方に変化をつけたり、季節の風味や彩りを添えたり、盛りつけなどにも工夫を凝らしてくれる。上方で修業した親方の影響を受け、真吉の料理には繊細な趣向があった。
「何がはじまったの?」
佳乃が音を聞きつけ、飛び出してきた。
「真吉さんが、修繕をしてくれているんだよ」
「真吉さんが?」
佳乃は、梯子に上って外壁の板に釘を打ちつけている真吉を見上げた。
「そうだったの」
佳乃は笑みを浮かべた。
「おばばさん、ちょっと、出掛けてくるわね」
さちが尋ねても、佳乃は行く先も告げずに行ってしまった。

こんな日は、普段は手が回らない繕いものをしようと縁側に座って、さちは無心に針を動かしていた。久しぶりにのんびりとした気持になった。
真吉の打つ金槌の音が、ときどき聞こえてくるだけで静かだった。
小半時(三十分)ほどすると、板場(調理場)の方からまな板を叩く音がする。
真吉の修繕仕事は終わったのかと板場に行くと佳乃がいた。
「どういう風の吹きまわしだい?」
佳乃がまな板の上で魚の身を叩いている。
「お昼のおかずをつくってるのよ」
親しくしている漁師から鯵(あじ)をわけてもらってきたのだという。
「珍しいこともあるんだ」
「真吉さんが働いてくれてるから」
佳乃は真吉に手料理をごちそうしようというのだ。
「そうなのかい」
さちが茶化すような笑いを浮かべた。
「おばばさんの分もあるのよ」
「それは楽しみだこと」
さちは何をつくるのか尋ねなかった。
「出来上がったら声を掛けますからね」
それまで休んでいるようにと言われ、さちは再び縁側に向かい、繕いものをはじめる。心地よい浜風を受けていると針を持つ手がおぼつかなくなり、ついうとうとしてしまった。

「おばばさん!」
佳乃に呼ばれてはっとした。
居間には佳乃が用意した料理が並べられている。
真吉はすでに膳の前に座っていた
「さあ、おばばさんも、座ってちょうだい」
佳乃に促され、さちは真吉の向かいに座った。
「お嬢さん、これは?」
真吉は鮑(あわび)の貝殻に入った焼き物に目を止める。
「鰺(あじ)のさんが焼きよ」
「いただいてよろしいですか?」
「どうぞ!」
真吉は焼き目のついた表面を箸で剥がして食べた。
「おいしい?」
「香ばしくて、うまいですね」
「佳乃、板さんにほめられたんだよ」
「よかった!」
佳乃は喜びの声を上げた。

鰺のさんが焼きは、さちが父久兵衛から習った漁師料理で、それを佳乃にも教えていた。
三枚におろした鰺の皮を剥ぎ、包丁で粘りが出るまで叩き、青じそや生姜、茗荷(みょうが)、ねぎなどを入れ、味噌を加えて混ぜ合わせる。それを「なめろう」というが、その「なめろう」を鮑の殻に入れて網の上に伏せて焼いたもので「さんが焼き」と呼んでいた。
「おばばさんも味見して!」
「鰺はよく叩いてあるし、お味噌も入れすぎてないのがいいね」
真吉も、さちを真似て飯の上にのせて食べている。
「鰺のほかに、鰯(いわし)や飛び魚、秋刀魚(さんま)も大丈夫ですね」
「さすが、板さんね」
さんが焼きに使えそうな魚の名を、すぐに口にするところは、さちの亡き父久兵衛にそっくりだった。
「これで飯を食べると、何杯も食べられそうですね」
「お代わりをして!」
佳乃は、真吉の飯椀にお代わりを入れに板場に向かう。

「きょうは、こんな魚しかなかったの」
戻ってくると、盆に煮魚を盛り付けた皿を持っている。
煮付けの魚は頭部が扁平で細長く、鱗のない魚だった。
「鼠坊(ねずっぽ)よ」
佳乃は漁師から鰺と一緒に分けてもらってきたのだ。
「内海で捕れる雑魚(ざこ)ですよ」
さちが笑いながら言った。
真吉が箸を入れると骨が簡単に外れ、身離れのいい魚だった。
真吉はひと口食べてみる。
「白身魚ですね」
「淡泊でしょう?」
佳乃が言った。
「鰈(かれい)に似てるかな」
「鰈ほどはではないけど・・・」
土地の人たちがよく食べる魚なので、真吉にも知ってほしいと思い、佳乃は煮付けてみたのだ。

「あっ、ちょっと待って!」
佳乃はまた板場に行き、小鉢を持ってくる。
「さやいんげんの梅煮浸(うめびた)しよ」
「まあ、佳乃、梅を使ったのね」
「そうよ」
佳乃は得意そうな顔をして、真吉と顔を見合わせた。
「真吉さんから教えてもらったの」
「おや、そうだったの」
さちは、いつの間にと声を上げそうになったが、何も言わなかった。
「つくり方は簡単よ」
佳乃は、水と醤油をひと煮立ちさせたところに、昆布と梅干しを加えて、茹でたさやいんげんを浸けたものだと、真吉から教えられた方法をさちに披露する。
佳乃のその話しぶりを真吉が、にこにこしながら見つめている。
「おばばさん、食べて!」
さやいんげんの切り方が少し不揃いだったが、梅味の具合はよかった。
「梅乃井の味が、またひとつ出来たね」
さちは二人の親密そうな様子を見て、満足そうな笑みを浮かべていた。(つづく)





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Last updated  2023年02月16日 08時50分05秒


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