浜松出身のM君のそば屋は、酒を飲むのに向いている。M君は日頃から肴の仕込みをしているので、結構珍しいものを出してくれるのだ。今日は、塩ブリを出してくれた。信州の年取り魚は、松本辺りから西側がブリ。東側は鮭になる。僕のところは鮭なので、塩ブリを食べる風習はない。塩ブリは、旨みが凝縮されていて酒に合うことこの上ない。

塩ブリは、脂の乗った寒ブリを寒風の中で干し、 塩をまぶして仕上げる。塩で魚の旨みを引き出す製法は結構あって、干物や寿司にも活用されている。日本人の知恵というのは大したものだ。僕らも、どっぷりと塩をまぶされたら、余計な水分やアルコール分が抜けて、旨みのある人間に成長するかもしれないな。
ざるそばで締めて店を出ると、雪は30cm近く積もっていた。辺り一面が塩のようで、見た目にしょっぱい。この手の「塩」は、控えめに願いたい。