2003/01/22
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カテゴリ: 気まぐれのお話
かぐや姫が振り向きもせず月に帰って行くように、お前も私のそばから去っていくのだろうと、その時予感したよ。その時がいつ来るのかはお前次第だから、私にはわからない。私はお前と人生という夢を見ながら旅を続けて生きたかっただけなんだ。

電話は掛けなかった。1ヶ月も過ぎた頃だろうか、久しぶりに顔を出した大倉山の喫茶店で、マスターが教えてくれた。「彼女、留学するんだって?」アメリカのビジネス専門学校に行く話しを聞いた。もともと、英語が得意だと言っていたし、お前らしいと思ったよ。ただ、私は何もお前からは聞いていなかった。「寂しくなるなあ」マスターが妙な上目遣いでこちらを伺っているのを感じた。知っているのだろう、お前がそれとなく言ったのかもしれないと思った。

そして、まるで何も無かったかのような明るい声で、お前から電話が有ったのは、12月28日だった。大晦日は港で汽笛を聞きながら過ごしたいというお前の言葉は、無邪気なものだった。故郷へは帰らないあなたと居たいからと言ったよね。そう、呼び交わす汽笛を聞きながら新しい年を迎えれば、お前と私もまた新しくなれるような気がしたよ。





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最終更新日  2005/07/04 09:30:29 PM
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