2003/01/29
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カテゴリ: <閑話休題>
<閑話休題>

引き続き、妖怪談義で参ります。
小泉八雲の「怪談」の話題を下さった方がおられるので、少し書いてみたいと思います。実は昨年小泉八雲記念館に行ってきました。まあ、館の印象は置いといて・・・八雲との出会いは、小学校の頃に読んだ怪談日本語訳でした。中学では「MUZINA」の話が教科書に出て、印象深く覚えています。あの、「Ojyochuu ?Ojyochuu?」は笑えました。繰り返しの怪の代表例としてほかでも似たような話はありますね。「平成狸合戦ぽんぽこ」でも結構洗練された感じで描かれてました。あの映画、実は気に入ってます。

「怪談」は、外国人である八雲の視点が面白く、なかには中国の話も混じっていますが、八雲がいろいろな人から聞いた話(文献からの採集ではなく)が主なので、当時の話し手の置かれていた環境ひいては日本の状況も伺うことが出来て、何度読んでも厭きません。私は「鳥取の布団」が話としては好きです。とても、悲しい話ですが・・・

「鳥取の布団」
鳥取に有ったある小さな宿屋で心のこもったもてなしを受けて気持ちよく休んだ旅人が、夜中幼い兄弟が語り合う声で目を覚まします。
「にいさん、さむかろ」「お前、さむかろ」・・・「にいさん、さむかろ」「お前、さむかろ」・・・
最初、旅人は日本旅館の常で、薄いふすまだけでさえぎられた隣の部屋から聞こえてくるものと思っていましたが、繰り返されるその声が、自分が今寝ている布団そのものから発せられていることに気が付いて、冷や水を掛けられたかのようにぞっとして、飛び起きます。(そりゃそうでしょう。)
そして、宿の主人と共にその布団の出所を探ると、ある長屋の家主が古道具屋に払ったもので、そこから買ったということが判ります。元の持ち主は、大層貧乏な兄弟が、流行り病で親が死んだ後、棚代も(家賃ですね)も払えぬまま、おびえながら過ごしており、せめて暖を取ろうと二人で、一枚だけ残った布団に包まって互いに慰めあっていたところ、家主が出て行けと怒鳴り込んできます。そして、棚代の代わりといって、家から兄弟を追い出した上に、その布団も取り上げます。行く宛てなど無い兄弟は、鍵の掛けられた家の入口に戻ってきて、ひさしに下で身を寄せて夜を過ごします。鳥取の冬は大層寒く、その夜も深々と雪が降りました。明くる朝、雪に埋もれて凍え死んだ兄弟を長屋の人たちが見つけます。この哀れな兄弟の念が残った布団というわけです。宿の主人は寺でお払いをしてもらうことにしたとのことです。







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最終更新日  2005/06/18 09:42:12 AM
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