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「コラボでコラム大作戦」 Part.18 by 林真未&有田リリコ ****************************** 「状況は変わっていない」******************************(近況報告)しばらくガッコウのセンセイをしておりました林ですが、産休・育休を取っていた先生が復帰したので、ガッコウ勤めが終わりました。それと同時に、地元NPO の理事長に誘っていただき、今は某子ども家庭支援センターに勤めはじめています。というわけで、今後のコラムは、そこで見聞きしたことなども織り交ぜてお伝えします。 さて。 この間、子育てひろばで1歳の子のママと話をしていたら。彼女が言う。「もうすぐ1歳半検診だからドキドキしてます―」「えーなんで?」「だって、みんな子どもがちゃんとできなくて、保健師さんに『できてないわね!』とか言われて、撃沈して帰ってくるっていうから……」 撃沈!? なんじゃそりゃー。「保健所でママが傷つく」っていうのは、私の一番上が赤ちゃんの時、だからつまり16年前に、少しずつ言われだしていたから、その後の子育て支援者なら、みんな知っている話のはず。 あれから10年以上たって、これだけ子育て支援が充実してきた今なら、当然、保健所にもその声は聞こえて、すっかり改善されているに違いない、と信じ込んでいた私。 なのに、なんじゃそりゃー。 ぜんぜん状況変わってないじゃんか。 私が驚いた顔をしていたら、 彼女は、重ねて言う。「母子手帳もキビシイですよね。何歳になったら何ができますか、って書いてあって。あれをクリアしていないと、すごく悩んじゃう……」 クリア、か……。 そうなんだよなあ。そうだろうなあ。ていうことは、母子手帳の、あの気になる書きようも、十年一日変わっていないというわけか……。保健所にしても、母子手帳にしても、ほんとうは、市民を幸せにするための道具なんだ。それが、ママ達を悩ましているとするなら、そんなの、ぜんぜんちがうじゃん!「……じゃあ、今度私の方から保健所に行ったときに伝えておくね」と話をしていた矢先に、地域担当の保健師さんが支援センターを訪ねてくださった。とても優しそうな方。こういう方なのに、ママ達は傷つけられてしまうのだろうか。挨拶と世間話の後、私は思いきって、先述のママの話を伝えた。保健師さんは言う。「1歳半は、障害の早期発見をするためにとっても大事な時期なんですよ。3歳で見つけるのとでは全然違うので……。それに、今の体制では1日の数時間で何十人もの子を見なければならないから、どうしても見逃さないことだけを、大切にしてしまうんです。検診に行ったのに、見つけてもらえなかった、と言われてしまうことは避けたいですし」状況は、わかります。保健所のおかれた立場も分かる。ひろばには複数回来てくれるけれど、保健所が赤ちゃんを見る機会は1回かそこら、多くて数回ですもんね……。だけどそれはあくまでも、実施する側の論理。大事なのは、ママ達がどう感じているかということ。幸せになるための場所で不幸を持ち帰らせてはいけないよ。私がそう言うまでもなく、その保健師さんはしみじみと言った。「でも、お母さんたち、そういう風に感じていらっしゃるんですね……そういう風に……」 何度も何度も、悲しそうな顔で、かみしめるようにそう繰り返す保健師さんの姿に、私は希望を見つけたよ。 ママ達も、傷ついた時には、「傷ついた」と言おうね。だれも、傷つけようと思ってしているわけじゃない。伝えて、つながって、そしたら、きっと変わるって信じて……。********************************************************************PROFILE林真未=カナダ・ライアソン大学認定・家庭支援職(ファミリーサポートサティフィケート)ファミリーエデュケーター練馬区在住、小5、中2、高2の母。36歳の時に、1才・4才・7才の子どもとワーカホリックな夫をかかえ、パソコンは知らないゎ、英語は苦手だゎという瀕死の状態で、カナダ・ライアソン大学の家庭支援職資格インターネット通信教育を始め、家庭支援を仕事にしてしまった向こう見ずな女。有田リリコ=イラストレーター世田谷区在住、小6の母。のらりくらりとやってきて、ふと気がつけば人生折り返し地点。いままでのだらだら半生を、最近はげしく後悔している女。
2010.07.12
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