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*はじめての方、ほかを読みたい方。 目次あります この上にもあるかも *
【カーラ22】
古(いにしえ)の魔法の傷は、その毒を体内へと広げつつあった。
背中を見られたリカムは、無表情に言った。
「そう、これにはいかなる魔術も効きません。
私の命も、そう長くは続かない」
「では、お前は死を覚悟していると?」
バイロンは体を離し、
乱れた金髪の隙間からリカムを睨んだ。
「はい」
「なにを言うかッ! 姫が人間の男なんぞに入れ揚げているというに!
それでも魔騎士かッ!」
「なぜそれを……! 姫様に限って、その様なことはあり得ませぬ!」
バイロンは再びリカムに詰め寄ると、
その神秘的な瞳でじっと見つめてきた。
宝石のように美しい紫の輝き。
だがリカムは、心臓が冷やりとするのを感じていた。
リカムは悔しさに唇をかんだ。
バイロンの言葉がウソでないのは、自分が一番よく知っていた。
バイロンはその表情を見て取ると、
余裕の笑みを浮かべ、さらに言った。
「そう焦らずとも良い。わたしは全てお見通しなのだよ。
その程度の情報など、手に入れるのは、容易(たやす)いことだ。
お前も魔騎士の端くれであろう。ならば姫を人間などに取られるのを
黙ってみて居らず、どうだ、この私に力を貸してはもらえぬか」
リカムは返事が出来なかった。
カーラと行動を共にするうちにいつしかリカムは、
彼女には古いしきたりにこだわらず、
自分の思いを貫く生き方をさせてあげたい、
そう考えるようになっていた。
しかしその一方で、
カーラには王女姫として、バイロンと共に魔法界の王位を継ぎ、
新しい時代を築いてほしい。
そういう願いもまだ、確かにあった。
そしてそれを見届けることが、
王女姫付き第一側近としての、己の使命でもあるのだった。
そのとき、自分を見つめるバイロンの瞳がさらに近づき、
リカムは思わず後ろに身を引いた。
背中に力がかかり、ウッと声をあげてそのまま後ろに倒れ込む。
その体をバイロンの大きな手が、すくい上げるように支えた。
息が掛かるほど近くで、バイロンがもう一度たずねた。
「手を、貸してもらえるかな」
「私は……」
(つづく)
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