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いらっしゃいませ。お話の国のご案内役、 こえめ
です![]()
カーラとリカムは、惹かれ合いながらも、
その心のうちを隠すことで、互いの関係を保とうとしているようですね。
預言者セテの言葉、
「カーラの思うとおりに事が進むのを、天も望んでいる」
そして「この子には何かある」の意味とは?
カーラは魔法界にとって、どんな存在なのでしょう。
【カーラ30】
古の魔法の傷に蝕まれ、その上バイロンに刃を向けられたリカムだったが、
間一髪のところでカーラに助けられ、
また彼女が人間界から採ってきた薬草と、
献身的な看病のおかげで、奇跡的に回復しつつあった。
実際、その薬草の効能には、特筆すべき点があった。
その薬草単独では、大した効果はないが、
魔法医術と併用することで、
特にそれまで魔法医術が効かないとされきた病に対して、
著しい効果をあげることが出来るのだ。
リカムの容態が安定すると、
カーラは一人でどこかへ飛び立っていき、
再び戻ってきたときには、一掴みの苗を握っていた。
「これを栽培して増やし、魔法界中の人々に行き渡るようになれば、
今よりもっと安心して暮らせるようになるでしょう。」
そう言ってみずからの手で、
宮殿の薬草園の一角に、
その苗を植えつけた。
その後ろには、娘の様子を複雑な面持ちで見守る
父王の姿があった。
魔法医師が、看護婦たちにいくら探させても見つからなかった、
奇跡の薬草「アネモフィラス」。
カーラは誰にどんなに尋ねられても、
その伝説の薬草のありかを、
決して明かそうとはしなかった。
婚約者のバイロン公爵はといえば、
カーラとリカムが口を閉ざしてくれたお陰で、
なんとかその名誉を取り留めることができた。
だが、カーラの考えを尊重するという
魔法界王の決断により、
婚約は破棄された。
そのかわりにというか、薬草に関する知識を買われ、
「アネモフィラス」を後世へと受け継ぐべく、
薬草園の管理責任者として、
その任務を授けられた。
その日、それまで黒く塗りこめることが
義務付けられていた宮殿の外壁は、
真新しい白さに輝いていた。
新設された玉座の上で、
魔法界王が、カーラを見下ろしている。
敬意を表してかしこまるカーラと、そのすぐ後ろに控えたりカム。
その日のカーラは、バラのように艶(あで)やかな 様子だった。
「お父様。私は、もう行かねばなりません……」
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