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カテゴリ: 風の詩
 誕生日を忘れていた。
 物心付いてから誕生日を忘れた事はなかったような気がする。

 夕方になって気づいたが同居人が一日中優しい振る舞いだと思った。同居人は元来が単細胞であるから些細な事でも感動しきりである。夕食時にテーブルのケーキに目を見張り、誰かの誕生日だと聞いたら、
 「そう誰かの誕生日」と同居人はあくまで優しげに答えた。
 それでもまだ気づかなかったが、
 「プレゼントはお預けね、そうね来週まで待ってね」
 と言われ自分の誕生日に気づいた。

 ショックである。

 二人だけの誕生日も大いにショックであった。


 それに、メールの確認を何日か怠った事も原因の一つだった。
 何処からか、誰から分からない様なメールが大量に届いていた。

 自由人は夢であった。
 社会的な制約のない有事な時間配分で生きるのが夢であった。
 制約のない自由な旅を続けて見知らぬ国の見知らぬ草原で雲を見上げながら自らの命の終焉を実感して死ぬのが夢であった。幼い頃の夢を今も見続けている。

 そして今、夢の殆んどが自分の前におかれている。

 後は時である。

 過疎化が急激に進む田舎で、窓を開ければ山と川があり、春にはさくらが川沿いに咲いている。裏の山肌は段々畑が連なり、その上には散歩道が山と畑の境界となってよこたわる。畑には季節の野菜の香りがして、働く元気な老婆たちが野菜をくれたりする。散歩道の周辺には季節を待ちわびたように花々が咲き、散歩者以外通ることのない道は何時でも花に囲まれている。
 時にカラスの大群が朝から鳴き騒ぎ、遠吠えの犬の声が狼の声ではと思わせるが、けだものの姿も見たことのない自然の風景に恵まれた生活である。時に田舎の退屈を感じ、時にテレビで都会との一体感を感じ、世界と同一のときの流れをパソコンで感じつつの生活は、ある意味では恵まれたゆとりある生活であり、また、怠惰極まりない生活でもある。

 田舎の生活はゆったりとした流れの中で展開していく。

 そんな田舎暮らしの、田舎の素浪人の誕生日であった。





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最終更新日  2007.01.21 09:34:46
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