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「 ベトナム戦争介入という悲劇を、これほど見事に描いた書物はないが、アメリカの「タカ派」の名誉のために、この書物について私が個人的に知っていることも含めて書いておく。ハルバースタムはニューヨーク・タイムズとハーパーに記事を書いていた記者であったが、この書物を仕上げる過程で、はじめアンドレイ・スチーブンソン研究所で研究し、その研究員の任期が切れた後、フレッチャー・スクールのグリオン部長のスタッフとして研究をつづけた。このことを、著者の註で見たときほど私は驚いたことはない。 グリオンは、ベトナムではアメリカは正しかったという信念の持ち主であり、私も出席した日米会議で、そのことを20分にわたってぶちまくり、すっかり座を白けさせたこともあるぐらいだからである。その人物が、自分とは正反対の見解の書物を仕上げるのに力を貸したことは、グリオン部長のフェア・プレーの精神を雄弁に物語っている。「理想主義者」でそのような行為をした例を私は余り知らない。彼らは偏狭である。 もうひとつ、14章に若い国務省の官僚としてベトナム戦争に反対し、若くして国務省を去らなくてはならなかったポール・カッテンバーグという人物が出てくる。6年ほど前、私はカッテンバーグ氏に思いがけないところで会った。北カロライナ大学にリチャード・ウォーカー学部長(現在中国大使)の招きで集中講義に行ったとき、カッテンバーグ氏はウォーカー学部長の招きで、その教授となっていた。その時も私は同様に驚き、うれしく思った。というのは、ウォーカー学部長も、グリオン氏と同様、ベトナムでアメリカは正しかったという説の頑固な持ち主だからである。ウォーカー学部長もフェアな精神の持ち主であった。 アメリカの「タカ派」は、少々頭は単純でも、このグリオン氏やウォーカー氏のような精神のフェアな人物が少なくない。そこにアメリカの救いがある。」「文明が衰亡するとき」(高坂正堯著、新潮選書)から。 ここにいう「書物」は、ハルバースタム著の「ベスト・アンド・ブライテスト」。 大阪市長選挙関係の記事で、「中学校前で演説後にトイレを借りようとした橋下氏が“門前払い”」という記事を見て、昔読んだ本を思い出しました。 まあ、橋下徹が、きれい事をいう教師が、しばしば、偏狭であるということに、幼いうちから気づいていたと思うので、本人は、今更、驚きはしなかったでしょうが。 橋下徹の激しい教師批判の背景には、そのような認識があると思う。 で、これは、少々、程度が低すぎて、どうでもいいことなのですが、問題は、東京電力福島第一原子力発電所の事故などなどに関連して。 日本の「タカ派」に、当時のアメリカの「タカ派」のような、フェアな精神があるのかどうか、ということ。 テレビで見かける評論家などには、どうも、フェアな精神の持ち主であるとは思えない方が多いような気がする。
2011年11月27日
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統帥とは、本来は、作戦用兵の目的を達するために陸海軍を統括して活動させる国家作用を言う。 この作用は性質上、専門的知識をもって機密裏に迅速に行われることが必要であるので、国務大臣の輔弼(大臣助言制)の外に置かれ、天皇が単独で行うべきものとされた。 しかし実際には、政府から全く独立の地位にあった軍令機関(陸軍参謀総長・海軍軍令部総長)が輔弼の任を務めた。 軍国主義が支配的になるにともない、陸海軍大臣が武官であったため、憲法12条の定める軍の編成・装備などに関する事項(これも国務大臣の補筆に属するもの)も、統帥事項だとされ、軍部の独裁を導く引き金となった。「憲法」芦部信喜著、岩波書店から 関係の条文は、多分、次のようなもの。 第4条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ 第11条 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス 第12条 天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム 第55条 国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス 2 凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス 統帥と陸海軍の編制及常備兵額の決定が、11条、12条と並んであるので、統帥とは、性格が異なりますが、陸海軍の編制及び常備兵額の決定も、統帥と同じように、軍令機関が輔弼する、と考えることも、できなくはないように規定されています。 大日本帝国憲法は文章が非常に完結で、この憲法に慣れた方が日本国憲法を読めば、日本国憲法は、文章がまったくなっていない、外国人から押し付けられた憲法だ、と感じるのも、理解できます。 で、なんとなくですが、雰囲気が似ているのが、プロ野球の球団。 軍令機関がプロ野球の監督で、国務大臣が球団会社(代表というのか、そのあたりが、普通の会社の言い方と異なるのでよく分からないのですが)。 さらに、天皇のようなのがいることがあります。 軍令機関が国務大臣に不満を抱くのはよくあることのようで、戦後の話で、軍令機関と言うのかどうかわからないのですが、5年ほど前にも航空幕僚長を辞めさせられた方がいて、大騒ぎになっていました。 陸海軍の活動は、安全保障に直結するので、軍令機関としては責任があるが、国務大臣は、そのことばかりを考えるというわけにもいかない。 同じような感じで、プロ野球の監督も、球団に不満を持つことがあるようです。 トレードが気に食わないとかいうのは、外交が間違っている、というのと同じような類のものでしょう。 強くても魅力のない球団もあるのと同じように、かつての日本のように、強い軍隊を養っていても、周りが敵ばかりになれば、よってたかって、負かされてしまうし、隣の将軍様の国のように、貧乏になれば、強い軍隊を維持することもできない。 どちらの三者も、それぞれ役割と責任がある。 戦前の軍令機関や野球の監督は人気があるので、強気のことを言うことが多い。 戦前の軍令機関と、「ユニホームを着ている人間を軽く見ている」、と今回の事件で怒っている東北の球団の某監督とが、イメージとして重なる。 戦後の元航空幕僚長も、辞めてからですが、けっこう、人気がある。 ここで、大日本帝国憲法を引用したように、「株式会社読売巨人軍定款」を引用すればわかりやすいのですが、どうも、ネット上では見つからない。 球団の天皇のようなものが、口を出して、一方的に、軍令機関の方が正しい、というようなことを言うと、それは、体制がおかしなことになるでしょう。 国務大臣が天皇に報告して、それでよい、となったものを、あろうことか、球団の天皇のようなものと監督との「非公式というかね、チームを高めるためにたくさんいろんな会話はしているわけですから、それの1つです。」として出た案を、球団の天皇のようなものが勝手に進めた、ということが発端となった、というのが、今回の大騒動のようです。 本物の天皇は、もちろんですが、そのようなことはされなかった。 報道されている終身名誉監督の発言は、戦前の、東郷平八郎を思わせる。 ちなみに、ウィキペディアによると、「末次信正、加藤寛治らのいわゆる艦隊派の提督が東郷を利用し軍政に干渉した。1930年(昭和5年)のロンドン海軍軍縮会議に際して反対の立場を取ったロンドン軍縮問題はその典型であるが」、とある。
2011年11月20日
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