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Dec 5, 2005
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カテゴリ: 勉強なハナシ
笠谷和比古『武士道と日本型能力主義』新潮選書2005

徳川時代の武士と武士組織を中心に論考。笠谷氏によると論点は三つ。

1、武士個人と組織との関係を武士道を中心に解説。また、武士組織の組織形態も概説。

2、徳川幕府の持つ能力主義型人材登用を解説。笠谷氏によれば、江戸幕府の組織形態は、単なる門閥主義ではなく、能力と一定の運さえあれば、下級の武士や、出自が農民の武士でも登用され、組織に活性化をもたらしたとする。

3、日本の近代化に果たした武士の役割を解説。2と密接に結びつくが、幕末の主に外交交渉にあたった人材は、優秀であり、時代性と限られた選択の中で最善を尽くしたと論じる。

笠谷氏は現代の失業に強い問題関心を抱いており、その一つの結果として、現代人の企業に対する忠誠心の欠如を指摘する。
また、今言われるようなグローバルスタンダード・株主優先型の企業を否定し、日本の企業組織と言うものの歴史的特質は江戸時代の武士社会にあったとし、今こそ、日本型組織の再編を主張している。
このスタンスは笠谷氏は一貫しており、市民向けの啓蒙書では、単純化すると、現代=アメリカ(笑)=悪、江戸=善、とし、日本の風土に合うのは江戸以来の武士型組織形態であるとする。

ただ、この本で問題なのは、笠谷氏がいうような、人材登用も活発で優秀な組織形態である武士組織の総本山である江戸幕府は、幕末維新において



そして、出来上がった近代政府は、一時的にせよ、世界の中枢になった

という、事実を意図的に排除していることである。
これは笠谷氏のスタンスとして一貫しており、常に現代と江戸時代を飛躍的に結び付けるが、その間にある近代についてはうやむや。

むしろ、幕末の江戸幕府を賛美するのではなく、なぜ、失敗したのかを中心に据えた方で、失われた十年の日本企業の問題をも浮かび上がるのでは無いだろうか。


以上、雑駁な感想。

ただ、近世史家としては、近世を賛美する傾向を持ちやすいので自戒する必要もある。賛美することも必要だが、なぜうまくいかなくなったかも考えなくてはならないだろう。





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Last updated  Dec 10, 2005 11:38:05 AM
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