座敷に案内されてみるとその豪華なこと。案内した童子に「お大臣、御しなりまし(寝なまし)」と促され次の間の布団に横になって待っていると神楽に手をひかれた花魁が入ってきました。花魁から受け取った煙管でいっぷくしくつろいだところで花魁が一通りのあいさつをします。
「主はよう来なました。今度はいつ来てくんなますえ?」
それを聞いたきゅうぞうが泣き出しました。花魁がびっくりして
「どうしなました?お腹でも痛いのざますか?」
「またいつ来てくれるとおっしゃいますが、今度くるにはまる3年たたなきゃ来ることができません。実は馴染みの医者に、花魁に会いたいと話したところ十両ためたら俺が連れてってやる、と言われました。しかしながら私の給金では一年に三両、十両貯めるのに三年かかりました。ようやく十両を貯めたものも着物もないので親方に借りてきました。」とこれまでのいきさつを全て正直に花魁に話してしまいました。
「また会うには三年かかる。その頃には花魁はもうここにはいないだろうと思うと悲しくて泣けてきました」
それを聞いた高尾太夫は「こんないやしい身分の私に三年間も思い続けて下さるんんて」とこちらも涙をながしました。
「それは本当の話ですか。そんな情の深い人なら例え私が病気になっても見捨てるようなことはけっしてないでしょう。来年の2月15日に年が明けます。その時あなたを訪ねていきますから私を女房にして下さい」
2月15日、約束通り元服をすませた高尾太夫がきゅうぞうの元を訪れてめでたく結婚をして幸せに暮らしたとのことでした。めでたし、めでたし。