【不摂生(ふせっせい)をしていても長生きの人がいる一方、健康に気をつけていても短命の人もいます。
生まれたときに、将来何歳まで生きられるというのは、ある程度決まっているのでしょうか。
甲田先生は、寿命ということについてどうお考えですか。】
何歳まで生きられるかというのは、
生まれたときに半分くらいは決まっていると私は考えています。
骨格とか菌やウイルスに対する抵抗力、内臓の強さなどは、
ほとんどが持って生まれたもので、そう簡単には変わりません。
しかし、あとの半分はその人の努力次第です。
一生懸命健康法を実行して養生したら、その分長生きするし、
生来頑健な体を持っていても、過信して不摂生したら長生きしません。
一病息災
(いちびょうそくさい・一つの病気をきっかけに摂生し、それがすべての疾病からの災害を消滅させてくれる。息はとどめるの意)
といいますが、ちょっと弱い体のほうが長く生きるというのは、よくあることです。
寿命は、食事の量によって変わることがわかってきました。
生まれてからずっと腹いっぱい食べさせたマウスと、
腹六分目に制限したマウスの寿命を比較した研究がありますが、
そうしたら面白いことがわかりました。
生まれてからずっと腹いっぱい食べさせたマウスの寿命が27.2ヵ月だったのに対して、
生後すぐに腹六分目にしたマウスは30.1ヵ月、
5ヵ月後から少食に変えたのは32.8ヵ月、
10ヵ月後からのは30.7ヵ月だったのです。
マウスの5ヵ月というと、だいたい人間の20歳、10ヵ月は50歳くらいです。
それくらいからでも、少食によって寿命を変えられるということですな。
カリフォルニア大学のスティーブン・スピンドラー敦授による最近の研究では、
少食によって遺伝子が若返ることもわかっております。
マウスの肝臓の遺伝子1万1000個を調べたところ、
そのうち1%に当たる約100個で、年とともに働き方が変化していたのです。
若いときは機能していたのに、年をとると働きが弱くなるものに、
薬物代謝に関係する遺伝子や
アルツハイマーを防ぐ遺伝子、紫外線で受けたダメージを修復する遺伝子などがあります。
反対に、若いときは機能していなかったけれど、年をとってから動き出すものに、
炎症を起こす遺伝子や、アポトーシス(細胞死)を抑える遺伝子なんかがあります。
年をとって、炎症を起こす遺伝子のスイッチが入ると、
リウマチなどの病気にかかりやすくなるし、
細胞死が抑制されれば悪い細胞が増殖してガンになりやすくなる。
こう考えると、加齢によっていろいろな病気になりやすくなるのは、
"遺伝子の老化"だということがわかりますな。
ところが、人間では90歳に当たる年齢のマウスを徐々に少食にしていったら、
5週間で1割ほどの遺伝子の働き方が若返ったのです。
つまり、老化とともに働き出す遺伝子が機能しにくくなったわけです。
私の周りでも、
断食をやりましたら白髪が黒くなったとか、シミが消えたという人がたくさんいます。
これなんか、遺伝子が若返ったから起こったことだと思います。
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