さて、アトピー性皮膚炎に対する治療法ですが、現代医学では、まず脱顆粒現象をできるだけ起こらないようにしようと、いろいろな研究が続けられているのです。
そして、各種の薬剤が開発されてきたのであります。
これはすなわち、アレルギーなる症状は病気であるとの見地に立って、この症状が起こらないように、もしまた起こってもできるだけ軽くてすむようにしようと努力していることになります。
たとえば、抗ヒスタミン剤などがそれです。
ジンマシンが出たらただちに抗ヒスタミン剤の注射を打って、痒い発疹を抑えにかかるというのがそれです。
また気管支喘息の場合もそうです。
エフェドリンやネオフィリン、あるいはインタールなどの薬は皆、脱顆粒現象が起こらないようにする働きがあるのです。
肥満細胞の細胞膜が破れて中からヒスタミンやセロトニンなどが飛びだすのは、肥満細胞の中にあるサイクリックAMPという科学伝達物質が減ってくるためであることがわかっ
ております。
そこでこのサイクリックAMPを減らさないようにすれば脱顆粒現象は起こらないですむのです。
そのために開発されたのが、以上のエフェドリンやネオフィリンあるいはインタールなどの薬であります。
したがって、これらの薬はあくまでも症状を一時的に抑える作用しかありません。
すなわち対症療法的な薬剤だというわけです。
次は減感作療法ですが、これは理論的には根本療法であるように見受けられます。
抗原物質、たとえばスギ花粉を最初十万倍くらいに希釈したものを0.05cc皮下に注射し、一週間に二回くらいの間隔で注射を続けながら、しだいに濃度を増してゆくという方法でこの療法がすすめられてゆくのです。
これによって、人体が抗原物質に対する抵抗力を獲得できるので、何らかの機会に、もしその抗原物質が体内へ侵入してきても、アレルギー症状が起こらないで済むというわけです。
このように減感作療法は理論的にはすばらしい効果が期待できるのですが、実際には完璧な好成績があがっておりません。
その理由としては、抗原となり得る物質をすべて探しだすことが不可能であるからです。
この社会において犯人となるものが、浜の真砂のごとく無故に出てくるのと同様に、抗原
となり得る物質もいくらでも出てくるのであります。
その中でもとくに盲点となっているのは腸管内に停滞している宿便の異常発酵や腐敗によって産生される抗原物質ではないかと筆者は考えています。
現代医学者は外部環境の汚染によって生ずる抗原物質には注目して、その研究に余念がありません。
それはまことにけっこうなことですが、腸管内の宿便によって生ずるところの内部環境の汚染がアレルギー病発生の温床になっていることにあまり注目しておらないのは片手落ちではないかと思うのであります。
それはとにかく、この腸管内の宿便からいろいろな抗原物質が産生されることを知り、それらをすべて探索しつくすということはそう簡単にはゆきません。
したがって、減感作療法がいかに理論的に優れたものであっても、すべての抗原物質を確実に探し出すことができない以上、私たちは完全にアレルギー病から解放されることができないということになるでしょう。
その上、この療法にはアナフィラキシーという恐ろしい突発事故が起こる危険性もあり、手放しで喜んで受けるというわけには参らないのです。
次は、免疫抑制療法としての副腎皮質ホルモン剤の使用です。
この薬はアレルギー性疾患の患者さん達にしばしば使われております。
とくにアトピー性皮膚炎には外用薬としてほとんどの患者さんに使用されているようです。
なるほど、この薬を使うと、たしかに症状が軽快してきます。
最初この薬を用いた人はその効果のすばらしさに驚くほどです。
そのため、この薬の効用に魅了されてしまうわけですが、これが実は恐ろしいのであります。
すなわち麻薬中毒のようなものになってくるからであります。
この薬によって、本当に病気が根治するのであればよろしいが、そうではなく、単に一時的に症状を抑えているにすぎないのです。
そのため、薬を中止したら、また爆発的に症状がひどくなってくるのです。
だから、いつまで経っても、この薬を止めるわけには参りません。
しかも、使っているうちにしだいに薬の効果が落ちてくるという傾向がありますので、薬の使用量を増やさないと同じような効果が期待できないという場合も少なくないのです。
こうして、本当に麻薬同様にずるずるとこの薬を長期に使わねばならないといった人もあ
るのです。
しかし、この薬には恐ろしい副作用があり、長期に大量を使用していると、敗血症とか胃潰瘍、糖尿病、高血圧等々、が出てくるという危険があります。
筆者のもとへ来られる患者さんの中にも、この薬で全身の骨がもろくなって、すぐ骨折するという情けない身体になってしまった人や、胃潰瘍になって手術を受けた人などがあり、この薬の恐ろしさを目の前にして背筋の寒くなる思いをしたことがあります。
その上、この薬を使った患者さんは、筆者の指導する断食療法や玄米少食療法などを行っても、効果が顕者に現われない場合が少なくないのです。
この薬を使っているうちに副腎皮質が萎縮して機能が低下してくるため、生命力が衰えてしまうためであろうと筆者らは考えているのですが、とにかく、この種の副作用をこうむった患者さんたちは悲劇です。
筆者のところへ入院して同じように断食療法を行ったアトピー性皮膚炎の患者さんでも、副腎皮質ホルモン剤を長期にわたって使っていたものは、この薬を全然使わなかったものより、治りが遅くて困ったということを過去においてしばしば経験してきました。
気管支喘息でも同様です。
だから断食療法を行うにしても、一応この薬を止め、しばらく経って副腎皮質の機能が元通りに回復してからでないと顕著な効果は期待できないということになるのです。
このように考えてみると、現代医学はなぜ、このような罪深い薬を安易に乱用しているのかと義憤を禁じ得ないではありませんか。
また、この薬を長期に大量使ってきた患者さんの中にはいよいよ麻薬中毒同様になってしまい、その恐ろしさに気づいて、この薬を中止したところ、症状が爆発的に再発して、アトピー性皮膚炎で全身がズルズルになってしまい、しかもそれが何ヵ月も続いて、本当に地獄の中に落ちたような苦しみを受けたというものも少なくないのです。
このような症例を目の前に見ていると、現代医学は一体何をやっているのかと強い怒りを覚えてなりません。
このような危険な薬を使わなくても、筆者が指導しているこの健康法で、安全にしかも確実に治せる方法があるではないかと声を大にして叫びたくなるではありませんか。
アトピー性皮膚炎や気管支喘息などで現在この種の薬を使っている人は、病気の根が深くならない間に、一刻も早く止めて、ただちに正しい健康法を実践なさるようおすすめしたいのであります。
しかし急にこの薬(外用薬)を中止すると症状が爆発的に悪化するという場合が多いので困るわけです。
そこで筆者が指導するこの健康法と薬を併用するという方法を三~四ヵ月続け、それから薬を少しずつ減らして、全廃するのがよろしい。
このようにすれば症状が悪化することなく順調に軽快してゆきます。
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