真理を求めて

真理を求めて

2003.05.23
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田中さんの本を読み終えて、改めて物事を正しく理解することの重要性を感じた。アメリカを支配するネオコンの考え方は、自分とは全く正反対のものなので、理解するのも気が滅入る感じになるけれども、この理解を間違えると、自分の行動も間違えてしまうのではないかという気がしてきた。

たとえば、今度のイラク戦争に関しても、戦争という手段は多くの民衆を殺すことになるし、それによって絶望と恨みが残れば多くのテロリストを生み出すというのは、まともに考えれば誰にでも予想出来ることだ。しかし、ネオコンが基本的に戦争状態を歓迎する姿勢を持っているということが分かると、この批判は彼らには届かないし、どれだけ批判しても彼らが権力を握っている限りは必ず戦争をしてしまうだろうということも「理解は出来る」。それに賛成はしないけれど。

同じように賛成はしないけれど、理解出来るものとして、小泉内閣に関するもので、田中さんの本にこういう記述があった。

「イラク戦争前の小泉政権の慎重な態度は、日本のマスコミなどでは「曖昧な態度だ」と不評だったが、上に見たような外交上の位置関係を考えれば、微妙なバランスを保つものだったといえる。」

ここで、「上に見たような外交上の位置関係」に関しては、次のような記述がある。ちょっと長いけれど、これがないとこの記述にあるような理解が難しいので引用しよう。

「このように、今後北朝鮮で戦争が起きるとしたら、それはアメリカが仕掛けた部分があることになるが、日本のマスコミでは、そのような説明がなされることはないだろう。北朝鮮だけが悪く、アメリカは正義だという論調が展開されると思われる。日本では北朝鮮に対する「防衛的な戦争」や「先制攻撃」に賛成する人が多い状態になるだろう。
 イラク戦争に至る流れを見れば、アメリカ政府は正義でも何でもなく、ただ世界を混乱させて自国の覇権を強化しようとする「悪の帝国」であることが分かる。北朝鮮に対する戦争も、この流れの中にある以上、「正義」などではない。外交で解決出来るのに、アメリカ中枢を仕切っている戦争をやりたい人々が不必要な戦争を起こしているに過ぎない。
 それでも「北朝鮮の人々の何分の一かが死に、韓国の市民が何十万人死んでも、日本が防衛されるなら、それでいいではないか」という考えもあるだろう。ところが、これも軽信だと思われる。アメリカのタカ派は、アメリカの覇権が拡大出来るなら、韓国や中国だけでなく、日本も戦争に巻き込まれて破壊されても、別にかまわないと思っている可能性があるからだ。
「日本はアメリカの同盟国だ。韓国のように反米に転じたこともないのだから、アメリカが日本を見捨てるはずがない」という考え方は希望的観測に過ぎない。アメリカにとっては、韓国や中国だけでなく、日本も破壊されて東アジア全体の経済生産性が落ちれば、アメリカの生産力が今よりも重要になり、アメリカ経済にはプラスかもしれない。東アジアという経済的ライバルがいなくなれば、ブッシュ政権が経済面で米国内の世論から攻撃される恐れが減り、好都合かもしれない。」



アメリカの傀儡であることによって利益を得る自民党や、その自民党と関係することによって利益を得る人々は、小泉首相の判断を支持することは理解出来る。それ以外の選択肢はないだろう。しかし、直接利益を得ることのない人々までがそれを支持しているのは大量宣伝のたまものだ。そういう人々が早く目覚めて我々と手を取り合うことが未来への希望だが、これは多くの困難に満ちているだろう。それでも、我々は絶望することなく、希望を持っていきたいと思う。賢い人間は多いはずだ。

北朝鮮に対するマスコミの見方は、かなり強い偏見に満ちたものが多く、それをそのまま信じていると深く理解するということは出来なくなる。しかし、そういう偏見を捨てて理解するということに重点を移せば、民衆レベルで連帯するということが出来るかもしれない。権力の側に情報を操られている今は、そういう冷静さが大事なように思われる。次のような田中さんの記述が参考になるのではないか。

「日朝間には「拉致問題」がある。この問題を重視すると「金正日は異常だ」という結論になりかねない。だが、日朝間に国交がなく「準戦時状態」であることを考えると、北朝鮮が日本を混乱させるためにスパイを送り込もうとして、スパイ養成のために日本人を拉致して来るというのは、北朝鮮側の軍事戦略としては必ずしも「異常」ではないということになる。」

「「北朝鮮がアメリカとの合意を破ったので、アメリカも北朝鮮との約束を守らないことにしたのだ」という主張を聞いたことがあるが、これは正義がアメリカの側だけにあることを前提にした議論だ。相対的に見れば、逆に「アメリカの政策が揺れている以上、北朝鮮が疑心暗鬼になって秘密裏に再武装を始めたのも当然だ」という考え方も出来る。」

勘違いされると困るので一言付け加えておくけれど、理解することと賛成することとは違う。しかし、すべての行動は、まず正しい理解を前提にして行わなければ正しい方向へは行かない。どんなに反対の考え方であっても、まず論理的な整合性を理解するということが大事だろう。偏見による先入観から脱していかなければならないと思う。





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最終更新日  2003.05.23 09:43:32
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