今日の日記も長すぎて最後まで入らなかった。以下は日記の続きだ。

世界には独立国が200以上はあったように記憶している。そのうちの約40カ国がイラク派遣にかかわっているにすぎない。日本が自衛隊派遣以外に何も出来ないのは、アメリカの側に立っているからで、その姿勢をちょっと変えれば出来ることはたくさんある。何もしないで平和になってからのこのこ出かけるのではなく、ちょっと姿勢を変えなさいと多くの人は主張しているのではないだろうか。何も出来ないのは、かたくなに対米追従一辺倒を執っているからだ。

小泉首相が責任に言及できなかったのは、決意の重さと言うよりも、何が起こるか想像できないから言えなかっただけだと思う。どういう状況でテロが行われるか、想像できればそれを防ぐすべは考えているだろうと思う。考えていなければ怖くて送れるはずがない。だから、想定されたテロに対しては責任は生じないという考えはあると思う。しかし、テロは、もっとも弱い部分を攻撃するのがその戦術の根本を占めると思う。今までの方法が効かなければ、全く想像外のやり方を考えてくるだろう。だから、そのような事態に対しては、事態が起こってから責任を考えるしかないのだと思う。

社説というのは、新聞にとっては事実の報道にとどまるのではなく、その事実をどう解釈するかと言うことに踏み込んだ意見だ。自衛隊派遣反対の方が数としては多かったというのは、識者の意見としては、反対の意見が多いと解釈してもいいのだろうか。 (2003.12.11 09:50:02)

真理を求めて

真理を求めて

2003.12.11
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小泉さんが記者会見をした翌日、新聞各社はそのことを社説で取り上げた。インターネットで検索をして、見られる限りの社説を集めてみた。まずは反対する方の社説を考えたい。

1  山陰中央新報
「自衛隊派遣が本当に復興に役立つのか。危険を覚悟での派遣が日本国民の利益にどうつながるのか。首相の熱弁にもかかわらず、肝心な点について国民を十分納得させる説明があったとは言い難く、強引な見切り発車の印象は否めない。「同盟重視」を掛け声にした対米協調優先の選択という色彩が濃厚だ。」
「小泉首相は「イラク国民が望む復興を支援する必要がある」などと強調した。イラク復興への応分の協力に反対する人はいない。そうした一般的なスローガンで自衛隊の派遣を正当化するのは政治的なごまかしだ。派遣がイラク復興という目的達成にかなうことを具体的に説明する責任があった。」
「最大の問題は自衛隊を「非戦闘地域」に派遣するというイラク復興支援特別措置法の前提が大きく揺らいでいる点だ。」

僕が感じていたこととほぼ重なる社説だった。昨日テレビに出ていた田中宇さんは、イラクはまだ戦闘状態にあり、復興というのは戦闘終了後の問題だと語っていた。僕もそう思う。今のイラクが戦闘終了後なのかどうかという現状認識の問題を考えなければならないだろう。

2 神戸新聞
「ちょうど十年前、カンボジアでのPKO活動中に文民警察官が亡くなった際、当時の郵政相は「汗を流しても血は流さない。国際社会で自己中心的だとそしられても甘んじて受けるしかない」と言い切った。ほかでもない、小泉首相である。
 基本計画の閣議決定後の記者会見で、この十年で何が変わったのか、首相の口からは聞かれなかった。」

「「可能性をいえばキリがない」などという首相の言葉は、乱暴すぎる。
 懸念があるからこそ、自民党、連立を組む公明党から慎重論が出ているのではないか。基本計画に派遣時期を明示せず、米英軍の武器弾薬輸送をはずしたのも、安全確保に確信が持てないからではないか。」
「同じアジアの一員であること、これまで学校や病院建設などの積極的な協力を積み重ねてきたこと、さらには「中東地域で一度も手を汚さなかった国」としての信頼や親密感は、日本の財産である。それを裏切るおそれのある行動が、国益になるとは思えない。」

いずれも共感することばかりである。

3 信濃毎日
「派遣計画の問題点をここでは四つ挙げたい。第一は、専守防衛を旨としてきた安全保障政策の基本から一歩踏み出すことである。」
「第二は「非戦闘地域」への派遣という、特措法が定める要件を満たす保証がないことだ。」
「第三は派遣の意味について、国民に分かりやすい説明ができていないことだ。」
「第四に国民世論とのずれが挙げられる。」

簡潔によくまとめられていると思う。詳しくはヤフーで検索して全文を読んでもらえればと思う。

4 中国新聞

「派遣した陸上自衛隊が攻撃を受け、防衛せざるを得ない状況になり、撃ち合いになる可能性もある。そうなれば、派遣された自衛隊で死者が出たり、イラク民衆を巻き込むことにもなる。首相にそこまでの覚悟ができているのだろうか。」

ここにも、僕が懸念したことが書かれていて、そう思ったのは自分だけではないのだなと確認できた。

5 東奥日報
「戦闘状態にある危険地域に「なぜ派遣を急ぐのか」「派遣すべきではない」。そんな世論が急速に高まっている中での政府決定だ。
これでは、説明責任を後回しにした見切り発車と言われても仕方がなかろう。イラク開戦をいち早く支持した光景と重なる、対米協調優先の選択ではないか。」


これも、その通りと共感できることだ。

6 琉球新報
「問題はまず、イラク支援特措法で自衛隊派遣の大前提としている「非戦闘地域」が完全に崩れ去っていることだ。自衛隊が好むと好まざるとにかかわらず、現地での活動が違法状態、場合によっては海外での武力行使という違憲にもあたる可能性が大きい。」
「イラク現地がこのような事態になることを政府は予測できなかったと言える。イラク支援特措法はことし七月に成立した。当時、福田康夫官房長官は自衛隊派遣時期に関連して「いずれ治安が回復する」と繰り返した。川口順子外相は秋以降「全土で治安が悪化しているわけではない」と述べていた。現地情勢の読みの甘さが露呈された形である。」
「政府は戦後この方、対米一辺倒の外交路線を取り続けた。対米追従の時限立法の数々を見れば分かることだ。小手先の対応に終わり、日本独自の外交を模索してこなかったつけが今、国民に大きくのし掛かっている。そんな中の自衛隊派遣は拙速であり、到底認められない。」

7 沖縄タイムス
「憲法で武力行使の放棄を誓い、自衛隊の任務を専守防衛と定めてきた安全保障政策が、国民へのきちんとした説明もないままに転換されたといっても過言ではない。」
「だが首相の発言は、憲法の平和主義の要である武力行使の放棄と交戦権を認めていない九条を無視したものであるのは間違いない。」
「米国が始めたイラク戦争の「大義」が破たんし、米主導のイラク政策がほころびを見せているいまこそ、政府は対米協調路線による追随ではなく、国連主導の復興支援に枠組みを替えるよう真剣に努力すべきだ。」

8 朝日新聞
「首相は憲法の前文の文章を読みあげ、その理念をしきりに強調した。自国のことのみに専念して他国を無視してはならない。国際社会で名誉ある地位を占めたいと思う。そううたっているではないか。だからこそ派遣するのだと語った。
 だが、それは前文の一部を取り出して都合よく解釈したに過ぎない。前文全体を読んでいただきたい。そこには、国連憲章に通底する紛争の平和解決という理念がどれほど深くにじんでいることか。」
「自衛隊を出さなければ、日本が孤立するかのような決めつけ方は間違いである。首相の言う「国際協調」とは、米国とこの戦争を支持する国々との協調であろう。」
「指導者が実力組織を動かす時、それによって目的がどれだけ達成できるという展望を国民に示すのが当然だ。だが首相は、自衛隊をいま送ることがイラクという国全体の安定や復興にどう結びつくかを積極的に語ろうとしなかった。」

9 毎日新聞
「さらに自衛隊を派遣した場合、撤退は誰がどのような時に、どのような状況になったら判断するのか。基本計画では派遣期間を1年としたが、ずるずる派遣を延長すべきではない。テロ対策特別措置法に基づきインド洋に自衛隊の補給艦などが2年余りにわたって派遣されているが、撤収にめどが立っていない。」
「何でも米国の言いなりになっていては真のパートナーにはなりえない。できないことは、できないというべき時もあるはずだ。」
「備えを十分にすることは脅しに屈することではない。日本は自国のテロ対策に立ちすくんではいけないのだ。」

以上の9紙が、僕が探した限りでの自衛隊派遣反対を表明する社説だった。一方、賛成の意見を表明しているのは次の2紙だった。

1 産経新聞
「派遣反対論が噴出する中、復興支援を軌道に乗せる国際共同行動への参加を決断し、使命感に燃える自衛隊員に敬意を表して派遣の意義を説いた小泉純一郎首相の姿勢を評価したい。」
「日本が派遣を断念した場合、テロに屈する国として信頼と尊厳を失うところだった。」
「「国際社会が手を引いたほうがイラクは泥沼化する」と語った首相発言に同感する。」
「「自衛隊が交戦状態に巻き込まれるなら、日本の憲法の想定しているところではない」との指摘がある。憲法第九条の「国の交戦権はこれを認めない」規定を意識したものだろうが、首相が「正当防衛論」で反論したことがその回答であろう。」
「民主党はイラク特措法による派遣に反対している。同党は、国際社会が一致して協力できる国連決議か、イラク国民による政権樹立があれば、自衛隊活用を認める姿勢だが、これは現状ではなにもしないことを意味する。」

ここで主張されていることはすべて僕には共感できない。僕は、姿勢を評価するよりも客観的に事実を正しく受け止めるべきだと思う。精神主義では正しい結果には結びつかない。それは、敗戦の時に思い知ったことではなかったのかと思う。国際社会が手を引くとイラクは泥沼化すると言っているが、アメリカがかかわっている今の方がもっと泥沼化していくのではないか。

正当防衛は、まず相手に攻撃された後に反撃するのならわかりやすいが、攻撃されたら殺されて終わりだという危険があるときに、攻撃される前に先制攻撃を仕掛けるのは正当防衛になるのかどうかと言う難しさはどうするのだろうか。攻撃されるという判断を間違えたときに、間違えて一般市民を殺してしまったときの責任はどうするのだろうか。アメリカのように、敵のそばにいるのが悪いというのだろうか。

国連の関与を求めて、その後に行動することが現段階で何もしないことになるのは、現政府が国連関与の働きかけを全くしないからだ。政策変更をしさえすれば、国連関与を求めて行動することは一つの方法になる。自分たちで何もせずに、それは何もしないことだと批判するのは、僕には全くの詭弁に見える。

2 読売新聞
「国際社会は、来年六月のイラク国民による政府樹立を目指し、イラクに平和と安定を取り戻すため、懸命の努力を続けている。自衛隊派遣は日本が国際社会の一員として果たすべき当然の責務だ。」
「文民では危険が伴うからこそ、生活や安全を自ら確保できる「自己完結型」の自衛隊の派遣しかない。」
「テロは米軍だけでなく、国連、国際赤十字などの国際機関、他の支援国部隊、文民、インフラ設備など標的を無差別に広げている。イラク国民の生活を安定させることは、テロリストを孤立させ、テロを封じることになる。」
「イラクが“破綻(はたん)国家”になり、テロリストの温床になれば、中東全域が不安定化する。中東に原油輸入の九割近くを依存している日本の経済にとって、致命傷になりかねない。」
「既に三十数か国がイラクに部隊を派遣し、復興支援に協力している。日本が他国の犠牲や痛みを傍観し、平和になったら支援に乗り出すというのでは、憲法前文にある「名誉ある地位」を国際社会で占めることはできない。」
「万が一の場合の対応について、首相は「どういう責任が生じるか、その時点で私が判断する」と、責任回避はしないという姿勢を明確にした。自らの決断の重さを吐露したものだろう。」

この主張にもすべて共感することは出来ない。これも一つの意見には違いないだろうが、その前提になる事実の解釈が、この主張を支えるとは思えないからだ。

イラクのフセイン大統領は世俗的な政権で、アルカイダのような原理主義的な思想とは相容れなかったとは、中東の専門家が語るところだ。アメリカがイラクに戦争を仕掛けて、占領統治に失敗したために、イラクはアルカイダを初めとするテロリストの温床になったのではないだろうか。

世界には独立国が200以上はあったように記憶している。そのうちの約40カ国がイラク派遣にかかわっているにすぎない。日本が自衛隊派遣以外に何も出来ないのは、アメリカの側に立っているからで、その姿勢をちょっと変えれば出来ることはたくさんある。何もしないで平和になってからのこのこ出かけるのではなく、ちょっと姿勢を変えなさいと…





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最終更新日  2003.12.11 09:47:06
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Re:新聞各社の社説(12/11)  
秀0430  さん

Re:新聞各社の社説(12/11)  
天目太郎  さん
始めまして。ulandさんの所から飛んできました。
あれっ?ジョンリーフッカーさんがいる!(すみません。知り合いなもので・・・)

凄いですね。
新聞各紙を比較分析されているので、とても面白いです。アチキも以前、朝日、読売、産経と取っていたのですが、経済的な理由で今は産経だけ取っております。

もともとアンチ朝日、毎日派なのですが、こと戦争問題に関しては産経の主張に首をかしげてしまいます。
産経が唱える愛国心は、ニセの匂いがしてきております。 (2003.12.12 02:39:48)

Re:Re:新聞各社の社説(12/11)  
秀0430  さん
天目太郎さん

書き込みをありがとうございます。

僕は、本多勝一さんがいたときは朝日をとっていましたが、本多さんが退職し、「アウシュビッツはなかった」という特集を組んで廃刊になったマルコポーロという雑誌の編集長だった男を新しい雑誌の編集長に迎えると言うことを朝日新聞がやったときに朝日の購読をやめました。今は、一番リベラルだと感じる毎日新聞を取っています。

ただ、マスコミと呼ばれる全国紙は、国家にかかわる部分ではあまり信用できないと思っています。インターネットでニュースを見ることが出来るのだから、もう日刊紙はいらないとも思っていますが、家族が見るのでまだ購読しているという感じでしょうか。

国家にかかわる論説では、地方紙の方が原則的で広い視野に立ったことを書いているような気がします。全国紙は、記者クラブの弊害か、国家批判が甘い感じがします。ジャーナリズムに批判精神がなくなったら、それはもう信用できないものになると思っています。

小泉さんは、新聞は批判しかしないとぼやいていましたが、批判こそが新聞すなわちジャーナリズムの使命ではなかろうかと僕なんかは思います。批判を失った新聞はもはやジャーナリズムではない。単なる宣伝媒体に成り下がると思います。

批判することを問題にするのではなく、その批判そのものが正しいかどうかを問題にすべきだと思います。 (2003.12.13 10:26:17)

Re:Re:新聞各社の社説(12/11)  
天目太郎さん
アンチ朝日、毎日派というのはいいですね。
我が家は新聞の勧誘の人がリベートを持ってくるという
量で変えていると言うのが実体です。
どの新聞がいいと言う前に、
このようにするのは疑問だ?
体言止になっていて
「じゃあ、どうするんだ」が
何処の新聞にもありません。
これが新聞の限界だと思うけど、僕は新聞に事実だけしか求めないようになりました。

サンケイは一番安くていいですね。
ちょっとレベルが低くてすいません。 (2003.12.14 08:33:52)

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