真理を求めて

真理を求めて

2004.01.27
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昨日の衆院予算委員会で、民主党の筒井信隆氏が石破茂防衛庁長官とやっていた議論が気になったので、その正確な報道を探しているのだが、どれも僕が見たものと印象が違う事実を伝えている。たとえば、

「首相、大量破壊兵器「まだ可能性」=テロ攻撃で撤収直結せず-防衛長官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040126-00000895-jij-pol

というニュースでは、次のように伝えている。

「また、自衛隊のイラク派遣に関し、民主党の筒井信隆氏が正体不明の相手から自衛隊がテロ攻撃を受けた場合の対応をただしたのに対し、石破茂防衛庁長官は「直ちに戦闘地域(になった)という判断には結び付かない」と答弁。「戦闘地域」の判断基準として「国際的紛争を解決する手段として武力行使が行われた場合で、国際性、継続性、組織性が挙げられる」と説明した。」

これでは、単に質問に答えたということを伝えているだけで、しかもその答えも整合性があるかのように書いてある。これは、僕がテレビで見ていた印象と全く違う。石破防衛庁長官は、正面から答えることをせず、論点をなんとか別の方向へ向けようとしているように感じたのだが、そういう報道は一つも見なかった。誰も、あの答弁をそういう風には感じなかったのだろうか。

筒井氏は、「国際的紛争を解決する手段として武力行使が行われた場合で、国際性、継続性、組織性が挙げられる」という答弁を受けて、戦闘行為を行った相手が、「国際性、継続性、組織性」があると認めたら、その戦闘行為は、武力行使になるということをまず確認した。それは戦争状態なのだということだ。そうなると、その場所は当然「戦闘地域」ということになる。

逆に言うと、戦闘行為の相手が、「国際性、継続性、組織性」を持っていなかったら、その相手との戦闘行為は武力行使にならないと判断をするわけだ。ある意味では正当防衛だと判断するのだろう。テロリストには、「国際性、継続性、組織性」を認めないと言うことだろうと思う。ここまでをとりあえず認めておいて、相手がテロリスト集団だと分かれば、その相手との戦闘行為は武力行使ではないと判断するのも一応認めよう。

それでは、相手が分からないときの判断はどうするのか、と筒井氏は質問したと僕は思った。相手がはっきりと分かるときは、その相手の性格によって判断してもいいだろう。基準がはっきりしていれば、その基準に従って判断するのは論理的だ。しかし、相手が何者か分かっていないときは、どうやって判断するのか。



だから、このような攻撃を受けた場所は、戦闘地域であるかどうか分からないと言うべきなのに、どうして「戦闘地域でない」と判断するのか、ということを質問したのだ。これは、とても本質的な部分をついた質問だと思ったので、僕には印象的だった。それでよく覚えているのだ。

石破茂防衛庁長官は「直ちに戦闘地域(になった)という判断には結び付かない」と答弁しただけで、それがどうして「戦闘地域でない」と判断するかの理由は答えなかった。「戦闘地域でない」と判断された土地にのみ自衛隊を送ることが出来るというのがイラク特措法だ。「戦闘地域でない」と判断しないと、イラク特措法によって自衛隊が駐留できる理由がなくなってしまうので、その場合は撤収する必要があるのではないかと思うのだが、「戦闘地域であるかないか分からない」という状況でも、これでは撤収はないのではないかと感じる。

最後は、筒井氏が挙げた具体例が、すべてサマワ地域でのものではなかったので、サマワは「戦闘地域ではない」と判断できると言うことで逃げられたように僕には感じた。しかし、今はサマワでは、このような事件が起きていないが、これから起こる可能性はかなりある。その時にどのような判断をするかということは、もう少し詰めても良かったのではないかと思ったが、石破防衛庁長官が何度も同じ答えを繰り返していたのでしびれを切らしたようにも感じた。

そのように感じた国会の議論が、このような報道しかされないのであれば、直接見ていない人は、民主党が追い込めなかったというイメージだけがふくらんでいくのではないだろうか。自民党の間違いや論理のすり替えが伝わらない。

http://www.asahi.com/paper/politics.html

で伝えられるニュースでも、「民主に限界」というイメージで書かれている。確かに、

「大義に疑問の残るイラク戦争と、その延長線上のイラクへの自衛隊派遣に強く異を唱えてきた民主党だが、政権政党をめざすうえで「イラク復興」や「日米協調」に完全にノーとは言えない。「立場の違いはあれ、派遣された自衛隊員の身に何かがあっては困る。任務を遂行して帰還していただきたい、という気持ちは(政府と)共有している」。そう付言せざるを得ないところが、前原氏ら同党の限界でもある。」

というのも正論であることは分かるが、自民党の間違いや論理のすり替えを全く伝えずに、民主党の限界というイメージだけを報道していたら、政府に対する批判の気持ちを持つ人は増えないだろうと思う。次のような世論調査の結果に、この報道が結びついているように感じる。マスコミの世論操作的報道の結果が、この世論調査に結びついているのではないだろうか。

「イラク自衛隊派遣決定、53%が評価…読売世論調査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040126-00000113-yom-pol

アメリカ人が、中東の現実を全く知らないために、イラクに民主的な国家を打ち立てるというブッシュ政権の嘘を簡単に信じていることを批判したい気持ちを、実は自分自身に向けてみると、日本人だってイメージばかりで本当の姿を見ていないのではないかと批判しなければならないんじゃないかと感じる。昨日の国会中継を見て、そのニュースが正確に伝えられていないと感じて、こんなことを思った。

もう一つ気になるニュースは、田中知事へのバッシングを感じるニュースだ。出る杭は打たれるというか、新しいことをして、変化を起こそうとする人間は、何かと攻撃を受けるんだなと思う。もちろん、批判すること自体は悪いことではないと思うけれど、今までに決まっていることを破ったことが悪いというような印象を受ける批判は、どこか違うんじゃないかという気がする。田中知事の住民票の問題は、明日改めて資料を読み返してみたいと思う。





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最終更新日  2004.01.27 23:43:03
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