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2005年08月17日
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重松清「疾走」(上)(下)角川文庫
この作品をミステリだという意見は聞いたことがない。
何しろ、重松はミステリなど一度も書いたことないし、
この作品は事件は起きるが、それは重松の「例外」だと捉えられているからである。
しかし、この作品には「謎」がある。どきどきするような一級品の「謎」が。
重松清はずーと「家族」をテーマに描いてきた。この作品は今まで小説と全然違うという印象を持つ人もいるが、私はいかにも重松らしい作品だと思う。今まで重松の小説に出てくる父親は過剰と思えるほど家族を守ってきた。しかしそれは本当に過剰だったのだろうか。もしも、一人の少年を、人を思いやる心も、年相応の知恵も、少しばかりの勇気も併せ持っている一人の15歳の少年を守るべき家族が崩壊したなら、少年はどうなってしまうのだろう。これはいままでの物語の裏返しの物語である。
更に言えば、人はひとりで生きていけるのだろうか。
人はなぜ生きているのだろう。
なぜ人を殺してはいけないのだろう。


「おまえは……」という過去形の語りがけで綴られていく。
この語り手は一体誰なのか。
私は三通りの結末を考えていた。
最悪と、まあまあと、最良の結末である。
結果は皆さんが味わってほしいと思う。





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最終更新日  2005年08月17日 22時53分07秒
コメント(8) | コメントを書く


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Re:重松清「疾走」はミステリである(08/17)  
ログからやってきました。
疾走トラバさせてもらいました。

私は、この作品も家族がテーマの作品だと感じました。
非常に重い作品で、どのように表現すればよいのかまだ頭の中で固まっていませんが・・・ (2005年08月23日 23時20分18秒)

Re[1]:重松清「疾走」はミステリである(08/17)  
KUMA0504  さん
おけいのうちさん
>ログからやってきました。
>疾走トラバさせてもらいました。

>私は、この作品も家族がテーマの作品だと感じました。
>非常に重い作品で、どのように表現すればよいのかまだ頭の中で固まっていませんが・・・
-----
こんにちは。ようこそ。
私も重松らしい家族小説だと思いました。
おけいさんは岡山の人ですよね。
私はここに出てくるO市を「岡山」K市を「児島」という風にイメージしました。位置や距離関係、経済格差などはいっしょだと思います。「浜」「沖」の関係はないですが。ただし最後の場面は茶屋町の田んぼをイメージしましたけど。 (2005年08月23日 23時52分38秒)

遅ればせながら  
ももたろうサブライ さん
 文庫になってから1年近く経って読んだので遅ればせながらTBしました。
 これを映画化するのは相当な力量が要りそうです。
(2006年03月26日 19時14分26秒)

Re:遅ればせながら(08/17)  
KUMA0504  さん
ももたろうサブライさん
TB&コメントありがとうございます。
映画はがんばっていました。致命的なのは主役の二人です。あの二人が、「カナリア」の役者だったら、と悔やまれてなりません。 (2006年03月27日 00時11分18秒)

重松清  
kimion20002000 さん
TBありがとう。
おっしゃるようにとても重松清らしい作品だと思います。彼は、小説家としてデヴューする前に、とても多作なルポライターであり、アンカーマンであり、覆面ライターでした。さまざまな社会的事件も取材しており、それらの総合がこの作品にこめられていると思いました。 (2007年02月06日 13時27分34秒)

Re:重松清(08/17)  
KUMA0504  さん
kimion20002000さん
コメントありがとうございました。
私も重松清の文庫本が出たらまず例外なく読むようにしています。(最近出版の頻度が多くて全部カバーし切れていません。)一応郷里の出身だし、なんか私と年が近いので、自分のパラレルワールドを見ている気がするんです。このブログでもたくさん彼の小説を扱っているので、見てやってくださいね。 (2007年02月06日 23時17分11秒)

穢れの意識  
TK さん
この本は「穢れ」について描かれているものだと思います。
穢れ。つまり人が差別される要因ですね。
なぜ人は差別をするのか?
なぜ人は差別をされるのか?
日本人の穢れの典型が描かれ、それに抗う主人公の
姿が頼もしくもあり、せつない。
(2008年11月01日 04時10分52秒)

Re:穢れの意識(08/17)  
KUMA0504  さん
TKさん
初めまして。
>なぜ人は差別をするのか?
>なぜ人は差別をされるのか?

そういうことも追求していると思います。

>日本人の穢れの典型が描かれ、それに抗う主人公の
>姿が頼もしくもあり、せつない。

穢れと見るのは面白い視点ですね。
いじめも穢れと見ると、色々説明できるところはあるかもしれません。けれども、社会の構造的な部分も、気をつけていかないとは思います。
-----
(2008年11月01日 20時14分34秒)

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