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2011年04月09日
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高橋の著作はアテルイ(「火炎」)の物語から始まって、前九年後三年の役、平泉の戦い(「炎立つ」)等を私は読んできた。高橋克彦は、この震災で必ず新しい確信に満ちた「敗北ではない」物語を始める事だろうと思う。

さて、珍しく純文学なるものを読んでみた。


「時が滲む朝」楊逸(ヤン・イー)文春文庫
日本語を母語としない作家で初めての芥川賞受賞作。89年天安門事件前夜から2008年北京五輪前夜まで。大志を抱いて大学に進学した「二狼」の物語。

作者はまだ文化大革命の残滓に成長した青年だった。「あとがき」では「革命しないとは、すなわち反革命である。反革命は死刑になるほどの罪だ。そんなロジックを元に、与えられた選択肢は常に「赤」か「黒」かの両極端のものだった」という田舎で育った人だった。だからこそ、「民主」(選挙による政府)は、総てをばら色に変える合言葉だったのだろう。

「大学の寮の中でこっそりテレサ・テンの歌を聴いた経験や、尾崎豊の名曲「I love you」から受けた衝撃などは、むしろ私自身の体験に基づいたものだといえよう。」

アメリカをバラ色の国ととらえ、日本を自由な国だという中国青年たちの「普通さ」を20年たってやっと私たちは文学として読むことが出来る。

矛盾の中で世界史は動いている。もちろん、俯瞰の目で見ることは必要だ。けれども、それだけでは世界は見えない。

日本はこれから曲がり角を曲がる。曲がらなければならない。

「赤」も「黒」も選ぶことの出来ない「普通」の庶民にとって、中国の経験は他山の石ではないだろう。





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最終更新日  2011年04月09日 23時23分37秒
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