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2011年04月15日
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「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎 新潮文庫
伊坂幸太郎は仙台在住の作家であるが、今回の震災に関しては特別なアクションはおこしていないようだ。彼はクールな人間だから、いつの間にかしらっと今回の未曾有の災害をテーマに小説も書くのかもしれない。

伊坂幸太郎は直木賞に嫌われている。これほどまでに人気作家で、かつ新しい世界を作っているのにも拘らず、直木賞を受賞する気配がない。

この作品に関しては、特にわざと避けられたのではないか、と勘繰りさえする。なぜならば、とても危険な小説だからである。

監視社会、マスコミ操作、アメリカの影という一種巨大な組織の力が背景に描かれる。普通の小説と違うのは、全く普通の人間がその生贄として選ばれ、彼にはその巨大な「力」と闘う方法も、度胸も、その気さえないということだ。普通の小説ならば、その他大勢として小説の前段階で消されるべき人物である。

ところが彼は逃げおおせる。これは今現在「巨大な力」がもしあれとすれば、最も危険な筋書きのはずだ。どうも陰の力が働いて、特にこの作品に限ってでも、伊坂にまともな賞を取らせるな、という陰謀が企てられても可笑しくはない。ところが、世の中は上手く行かないもので、本当に面白い作品には、辺境から評価されるものである。山本周五郎賞と本屋大賞のダブル受賞はそのようにして起こり、出版から二年と少しで映画化されてヒットするということも、「巨大な力」の想定外のことであったに違いない。

……というような妄想は置いといて、映画を見て十分に筋立ては知っているのにも拘らず、大変楽しむことができた。

「人間の最大の武器は、習慣と信頼だ」
「オズワルドにされるぞ」
「いいか、青柳、逃げろよ。無様な姿を晒してもいいから、とにかく逃げて、生きろ。人間、生きててなんぼだ」

「俺は犯人じゃない。青柳雅春」だと思った。
「いいか、俺は信じたいんじゃない。知ってんだよ」
「まあ、雅春、ちゃっちゃと逃げろ」
「なかなか洒落が利いてるお便りが」
「たいへんよくできました」

映画でとても印象的だった台詞が原作の中でそのまま使われている(じゃなくて映画でそのまま使われている)のは、大変嬉しかった。





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最終更新日  2011年04月15日 23時34分59秒
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