くろの旅

くろの旅

2006年03月02日
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夜回り先生の本を読んでいて、

思い出していました。

(夜回り先生の記事は こちら )


もう、10年以上前の事です。


くろは、以前勤務していた会社で、
会社主催のボランティアに参加しました。

内容は、養護施設に保護された子供たちと

色々なプログラムを楽しむ、
というものです。

養護施設の子供といっても、
ダウン症などの障害を抱えた子供ではなく、
親が経済的に破綻したり、
親の虐待にあったりして、
保護された子供たちです。

くろは、10人の子供の班を引率していました。


その中にタカアキという子供がいました。
小学校6年生でした。

タカアキは、母親の虐待により、



一緒にいる間、
タカアキは
ただの一度たりとも、
母親の事を悪くは言いませんでした。


むしろ、逆でした。


自分の母親との想い出を語ってくれました。


「お母さんが、夜にお酒を買ってきてっていうから、
 僕、いつも買ってきてあげるんだ」

「夜寝てるとき、お母さんがタバコが欲しいって
 僕の事起こすんだよ。
 だから僕、すぐに起きて、買ってくるんだ」

「お母さんいつも、僕の事すごく褒めてくれるんだよ」


虐げられ続けて来たタカアキの
必死の背伸び、
自己肯定。

小学生の子供が、
深夜に酒を買いにいかされ、
タバコを買いにいかされ、
そして、虐待され。

それでも自分と自分の母親を
否定したくはなかったのでしょう。



何日かかけてようやく心を開いてくれ、
いろいろな話しをしてくれるようになったタカアキ。

笑顔も見られ、はしゃぎだし、
親のいない寂しさからか、
いっぱい抱きついて来て、
いつもくろにまとわりついていました。
肩車も大好きでした。


しかしある時、
はしゃぎすぎて
いたずらが過ぎた時がありました。


くろはタカアキに向かって、

「コラッ!」

と大声で怒鳴りました。


その瞬間のタカアキの
恐怖におびえた顔を、
くろは今でも克明に思い出します。

タカアキの心の傷は
数日間くろと仲良くなったくらいで
癒されるものではなかったのです。

そして、その後、
タカアキをぎゅっと抱きしめたとき、
タカアキの体から
ふっと力が抜けていった感触も、
忘れる事ができません。


ボランティアとは名ばかり。

くろよりもよっぽど
辛い思いをしている子供たちに
くろが教えられる事なんて
何もありませんでした。


そして、今も、
辛い思いをしている子供たちが
この世の中に沢山いるのかと思うと、
とてもやりきれない気持ちが
あふれてしまうのです。





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最終更新日  2006年03月02日 23時58分45秒
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