くろの旅

くろの旅

2006年03月05日
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タカアキの想い出に続き、


(タカアキの想い出は こちら )



ユウは小学校6年生の男の子でした。

ユウは両親共に、
一緒に暮らせる状況ではありませんでした。
夏休みも、お正月休みも、
帰る場所はありません。



優しいと書いて、ユウです。
その名の通り、
くろはこんなに優しい子を他に知りません。


ユウは、あまり自分からはしゃべろうとしない、
自分からはなかなか、友達の輪に入れない、
ちょっと引っ込み思案な子供でした。


でも、自分以外の皆が楽しそうに遊んでいるとき、
その様子を、
自分だけちょっと離れて、
本当にうれしそうに、
いつも一人で



そんなユウのことが、
くろはいつも気になっていて、
そして、いつの間にか、
ユウが大好きになっていました。

くろはユウから、

黙って見守る優しさを学びました。


ボランティアプログラムも、
もう本当に終わりに近づいた時。

帰りの電車に乗るため、
皆で駅まで一緒に歩きました。


お互いに仲良くなったくろの班の子供達は、
最後の別れを惜しみながらも、
皆で遊んだり、おっかけっこをしたり、
はしゃぎながら
歩いていました。

その時もユウは、
くろのすぐ前を、
いつも通り一人で歩いていました。

その小さな背中が無性に愛おしく、
くろは、
「ユウに逢えてよかった、本当にありがとう」
と心の中でお礼を言いながら、
万感の想いをこめて
ユウの肩にそっと手を置きました。


その時です。


ユウが静かに涙を流し始めました。


くろは何も言葉を発していないのに、
後ろから手を置いたので、
本当は誰の手かも分からないはずなのに、
ユウはポロポロと涙をこぼしていました。


ユウの感受性の豊かさ、鋭さに
心が震えました。


なんでユウはこんなにも
他の人の気持ちが分かるのか。

それはきっと、
ユウのたった12年の
それまでの生涯の中で、
辛いことが多かったから、
そしてその分、
強さと優しさを
身に付けたからなのではないかと思いました。



たった12歳だったユウですが、
他の人の気持ちを理解してあげるということ、
黙って見守るという優しさ、
くろは34歳になっても、
まだまだ、ユウに遠く及びません。



「名は体をあらわす」と言います。

優しいと書いてユウ。

「憂う」者のとなりに、
寄り添う
「人」


もう10年以上も会っていませんが、
きっと、
ユウは今も、
その名前の通りの
人生を送っているのだと、
くろは信じています。





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最終更新日  2006年03月08日 01時53分27秒
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