レフティーの休日

レフティーの休日

2008.12.07
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カテゴリ: 書籍・雑誌
デニス・L・メドウズ、ドネラ・H・メドウズ、ヨルゲン・ランダース(共著)
枝廣 淳子(翻訳)

人類は、経済成長と人口増加による資源の消費、環境汚染のため、
地球の限界を超えつつあると警鐘を鳴らす。
ローマクラブの依頼により、
コンピュータシミュレーションで未来を予想する「成長の限界」(1972年)が発表され、
その後新たなデータや分析を加えた「限界を超えて」(1992年)、
更に分析を進めた本著が発表された。

本書はあくまでシュミレーションによる科学的論文のようで、

ひたすら、シュミレーションを繰り返して来る未来を予想していく。

とにかく分厚くて、集中力を維持して読み進むのは非常にきつい。
(本書を入門編的によりわかりやすくしたのが「 地球のなおし方 」で、
 こっちにも大体同じようなことが簡単に書いてある。)


経済の発展とともに、資源の消費、環境汚染は幾何学的に増加していく。
そして貧困層を中心とする人口も幾何学的に増加していく。
経済が発展し、人口が増えると、消費される資源は増え、汚染レベルは高まる。
更に、劣化する土地が増え、食糧やサービス、消費財など
人々を支えるため必要なものの絶対量も増加の一致となる。
そして消費量が増えるだけでなく、残された資源を採取するためのコスト、

そして2100年を待たずして崩壊する。

これを基本シナリオとして、さまざまな対策を講じてシナリオを書き返すが、
どのシナリオも遅かれ早かれ崩壊する。非常にショッキングな内容となっている。

ありとあらゆる対策を迅速に講ずることによって、崩壊を免れる道は残されているかもしれない。
ただし、1972年の時点で対応していれば得られたであろう水準には、もはや届かない。


これを読んで感じること、それは「既に限界を超えているかもしれない。」ということ。
昨今のマネーゲームによる石油価格や食糧の高騰。
そして、米経済の行き詰まりによる歴史的な経済危機。
もしかしたら、限界を越えてシミュレーションが示す『崩壊』が始まったのかもしれない。
とすると、もはや復活はなく、崩壊への道を転がり落ちるのみだ。
そうでないことを祈るばかり。

そして、崩壊を食い止めるにはどうしたらいいのか?
その答えは、人類全体で考えていくしかない。

人類全体が立ち向かった問題として、「オゾン層破壊」への対応を取り上げて、
同じようにドラスティックな対応をすれば、まだ間に合うかもしれないと呼びかけている。

印象的なのは、和訳の枝廣さんのあとがき。

「誰もが環境や地球を破壊しようと思っているわけではない。
 多くの人は常識的な範囲で活動している。
 それなに問題が起こっているとしたら、人が悪いのではなく、
 悪意なく行動しても問題を起こすような「しくみ」が問題なのだ。
 そのシステムを変えないと問題解決にならない。」

これからの幸せは、今までと同じ物差しでは測ってはいけないのかもしれない。
某カジュアル衣料チェーンの社長が「成長しなければ死んだのと同じ」
みたいなことを言っていた記憶があるが、
豊かさを手に入れるため、より良い明日を手に入れるため、成長を競っていること自体が、
崩壊の根源だったのかもしれない。





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Last updated  2008.12.20 00:29:04
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