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2004年06月16日
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子供は言葉の習得が大人より早いと言いますが、それでも彼女にはそれなりの苦労はあったようです。
イギリスの学校へ行き始めてまもなく教わってきた歌を歌っていますが、
Mary had a baby. Yes, Lord.
Mary had a baby. Yes, my Lord.
Mary had a baby . Yes,Lord.
People people come and a train has just gone.
という4文からなる歌詞の歌です。
聞いていて、どうも四行目の歌詞が理解できないのです。
このように、歌っているからです。

メリー ハダ ベイビー イエス マイ ロード
メリー ハダ ベイビー イエス ロード
ピコ ピコ カミナリ チン コン カン
「チョッと、もう一度歌ってくれる?」
私は彼女の歌っているのを聴いて、何だか可笑しいと思いながら「良く覚えたわね、最後のところはそれで良いのかしら、本で調べてみましょうね。」と子供向けのナーサリーライムズの本を探してみました。
「ほら、これよ、 ‘ピプル ピプル カムアンダツレインズ ジャスツゴン’」と私は歌って聞かせ、娘にも歌詞を読んでもらいました。
イギリス人の中に入ってすぐの頃でしたから、耳からだけ憶えた歌詞を、日本語の感覚で捉えていたのでしょう。

5歳から彼女が通っていたロンドンの学校では当時、一クラスに生徒が十数人、そして先生は教室に2人いました。 日本のように先生が教壇にいて、生徒が皆で先生の話を聞くというスタイルの一斉授業ではありません。
同じ教室の中で、ある子は算数をしていて、ある子は国語(英語)の本を読んだり、絵を描いている子など様々で、その間を先生2人が歩いて回り指導するのです。
娘のように外国から来た子には先生の手作リ絵本が渡され、それを終了して後に教科書に入っていきます。
初級の本から徐々に進み、進歩の早い子はどんどん次の段階に進んでいきます。

しかし、これを裏返すと、できる子はますます進み、算数でも国語でも得意な教科は他の子達に大きく差をつけてしまう反面、できない子、不得手な学科は全然進まないまま、激しく差がついてしまうということです。
日本の小学校ではできない子や不得手な学科の子がいても、いかにしてみんなと同じレベルに至らせ、いかに同じに進んでいくかに重点が置かれ、極端に遅れた子を出さない平等で差別をつけない教育を、という考え方が根底にあるようです。
だから優秀な子がいてもなるべく皆同じにするという観点から一等、二等、三等賞ではなくて「参加賞、すなわち参加することに意義がある」ということになるのです。
こういう日本式の方法が良いか悪いかではなく、皆が同じようにはできていない人間を、皆同じレベルにもっていこうとする、日本の先生方のご苦労も大変なことと思います。


日本に帰国すると、娘は小学3年生として編入しました。

先生が、校長先生に「ロンドンから来た恵里子です」と紹介してくださり、娘に向かって 「恵里子、この方が校長先生ですよ」とおっしゃった。
 先生は更に「恵里子、 校長先生って英語でなんて言うんだい?」と娘に話しかけたが、娘は黙っていて、先生が「ヘッドマスターって言うのかな?」と言いました。
「違うよ、ヘッドマスターは男だよ!」と娘。 その言葉に先生は顔を赤らめてしまった。
校長先生は女性でしたが、そのやり取りをお聞きになって、ニコニコと微笑んでいらした。
自分の意見をはっきり言う、いかにも帰国子女、と思われたようです。

娘は通学を始めて直ぐのある日、学校から帰ると「お母さん、緑のおばさんてなあに?」と聞きました。
「その人はロンドンで言うロリーポップレディ(lollipop lady)よ」と私。
又ある時は、「学校で水着を持って来なさいって、言ったんだけど、水着ってなあに?」
「それはねスイミングスーツよ(swimming-suit)」と私。
ロンドンでは寒いこともあるのでしょうか、ロンドンでの水泳の授業は一度もありませんでした。
第一プール自体、恵里子の行っていた学校にはありませんでした。
娘は水着を持っていましたが、それは近所の子供達と庭で、子供用の膨らますプールで水遊びをしたり、天気の良い日に日光浴をする時用のものでした。

日本の小学校に来て生まれて初めての水泳の授業を受けたのです。
水着を持って学校へ行ったものの、彼女にとって浮き輪のない水泳は生まれて初めての経験でした。
いつも元気で病気知らずの娘が登校前に「お腹がいたい、今日は泳げないから、お便りノートに書いて」と言うのです。
体調を心配しながらもお便りノートに「腹痛のためプールは見学にして下さい。」と書いて持たせました。
それ以降もプールの授業があるたびに、「頭が痛い、お腹が痛い」とプールでの見学が度重なっていったのです。
「水泳するの嫌なの、どうしたの?」と話を聞いてみると、初めての水泳の授業で、皆と同じようにプールに入って泳がなくてはならず、しかもとにかく水に慣れろと先生に無理矢理沈められ溺れかかったというのです(娘の話では)。
その一回の恐怖感から、一種の逃避行動になってしまったのです。

又あるときは、「お母さん、日本の学校ではイギリスの学校と同じ事をすると嫌われる事があるよ」と言うのです。
「へえー、どんなこと?」
「うーん、なんか自慢しているように思われるみたい・・・。だからイギリスの話はもうしないの。 お母さんもあまりみんなにしないで」と。
子供は子供なりに自分の環境の変化を察して順応しようとしていたのです。
他の子と同じでなくてはいけない、皆と同じ勉強を同じようなレベルでしていくのが当たり前の日本の学校。 女の子の個性はあまりみんなに受け入れられないのでしょうか。

先生方のご苦労もありまして、お蔭様で帰国後2、3ヶ月もすると娘はすっかり日本人になっていました。
帰国子女の補習校もありましたが特に行く必要も無かったのです。
英語も覚えていて、英検3級をすぐに取得し「日本語で書かれた問題文の漢字が読めなかったけどカンでやってきたよ」と言っていました。
友達も直ぐにでき、再びピアノのレッスンも始め、もとの高島平で小学校を卒業しました。
後になって気がついたことですが、誰でも知っている幼稚園、小学校低学年で習う日本の歌を恵里子は何も知りませんでした。



(楽天の仲間)
個性を育てる少人数制、一方的に教え込む日本の詰め込み型でなく、隠れた才能を伸ばす、見つけだす・これは是非やってもらいたいと思われませんか?
(私)
人間は皆同じには、出来ていません。
それぞれの個性があり、それぞれに得手、不得手があります。  
それを皆同じにするのは、却って不平等、逆差別でもあるでしょう。
英国式教育を、一握りのエリートを育てる、とも言いますが、それなりの利点も多々あるでしょう。
個性や得意な学科は、どんどん伸ばしてあげたいですね。





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最終更新日  2004年06月19日 08時04分55秒
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