マックの文弊録

マックの文弊録

2005.08.25
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◇木曜日:旧暦七月二十一日 辛巳(かのと み) 亀戸天神祭
ウソ

台 風11号はいよいよ、今夕から関東地方を窺がう気配である。この辺もシャワーのような激しい雨が時折通り過ぎるようになった。この台風は、東北地方の東方に高気圧が立ちはだかっているせいで、進行が遅い。だから風よりも雨の被害が大きくなる心配がある。

今 日はあいにくのお天気だが、亀戸天神の大祭だ。
少年時代を東京の王子は滝野川というところで過ごした亡き父は、どういうわけだが亀戸天神がお気に入りだったようだ。滝野川から亀戸は随分離れているように思う。しかし、昔は晴れ着を着て出かける盛り場は、第一が銀座で、その次は浅草だった。澁谷や新宿、ましてや池袋などは 三業地 さんごうち と呼ばれて、素性の正しいお坊ちゃまやお嬢ちゃまなどは近寄らなかったのだそうだ。(三業地とは置屋・料理屋・待合という、三つの「業」が錯綜しあう花街の事)

さて、滝野川から浅草まで出かけてしまえば、更に亀戸まではさほどの距離ではない。天神様の早春の梅や、春も盛りの藤の花は、当時の父の一家にとっては結構楽しい遊山の対象であったらしい。
僕もそれを聞いていたので、まだ父や祖母が生きている頃、夏場に帰省する折には、時々船橋屋のくず餅をお土産にして喜ばれたものである。

と ころで、亀戸天神では毎年一月下旬に「 鷽 うそ 替え」という行事が行われることで知られる。これは元々は、元祖大宰府の天満宮の行事である。

大宰府の天満宮ではウソを大切にしていて、参詣者が木彫りのウソを交換し、交換したウソの中にある金色のウソを手にした人は幸福が来るとされる。

亀戸天神は、全国に散在する天神様の中でも格が高いらしく、亀戸宰府とも称される。境内も大宰府のご本家を模して造られているのだそうだ。ここの鷽替えの神事も、文政3年(1820)にその源を遡ることができるという。但し、ご本家とは違い、参詣者同士の交換ではなく、前年の鷽を神社へ返納して新らしいものととり(鳥)替える。そうして、去りにし年の諸々をウソにして、新しい年の吉運を祈る。

鷽 という鳥は、ユーラシア大陸の一円に分布する。わが国では、本州の中部より北、亜高山帯の針葉樹林に繁殖する。六月に入ると子育てが始まり、今頃は中部以北の千メートル級以上の山々では、鷽の家族が賑やかに鳴き交わしている頃だ。

だから普段は市街地では姿を見ないが、冬になって餌が少なくなると低地に降りてくる。鷽替えが一月の末に行われるのも、この頃街中でもウソを見かけることが多くなるからなのだろう。

ところで、ウソという名前は嘘とは関係ない。
口笛を吹くこと、緩やかに節を付けて唄うことを「 嘯 うそぶ く」という。ウソの鳴き声は人の吹く口笛に似ていて、まるでこの鳥が嘯いているように見える。だからウソ。

別名を「琴鳥」、又は「琴弾鳥」というのは、鳴くときに脚を上げ下げするのが、琴を弾いているように見えるためと言わる。





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最終更新日  2005.08.25 18:17:36
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