マックの文弊録

マックの文弊録

2005.09.07
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◇水曜日:旧暦八月四日 甲午(きのえ うま) 白露

むかご
今 日は二十四気の白露。
旧暦八月酉の月の正節で、太陽の黄経は165°になる。
暦便覧では、白露は「陰気やうやく重りて、露こごりて白色となれば也」とある。つまりは、野の薄も穂を出し、秋も本格的な兆しを顕し、朝には草の葉に露を宿す頃になったわけだ。

蘇 軾 そしょく の 赤壁 せきへき の 賦 ふ に曰く、
白露横江、水光接天

縦一葦之所如、凌萬頃之茫然
(一葦の 如 ゆ く所を 縦 ほしいまま にして、万頃の茫然たるを凌ぐ)
浩浩乎、如馮虚御風、而不知其所止
(浩浩乎として、虚に 馮 よ り風を御し、其の止まる所を知らざるが如し)
飄飄乎、如遺世独立、羽化而登仙
(瓢瓢乎として、世を 遺 わす れて独り立ち、羽化して登仙するが如し)

白露の候、羽化登仙する。・・・・この心境は如何にも羨ましい。

しかし、我が下界は今週始めから台風14号に蹂躙された。九州四国地方を中心に死者行方不明者は二十数名に及び、家屋の被害や道路などの損壊も含めれば、甚大な被害といえる。亜米利加のハリケーン被害には幸いに及ばないが、こういうものは、その被害の多寡を相互に比較して論じるべきものではない。

そ
ニュースを見ていると、なんだか台風災害と、選挙戦は互いに別世界の出来事のようにすら思える。

こういう時に、若し小泉君か岡田君が、「かくなる事態に及んでは選挙運動にかまけているどころではない。私は率先して被災地に赴き状況を視察するともに、被災者の救済に全力を挙げる」と宣言したらどうなるだろうか?・・・・まぁ、やはりそういうことはお二人ともなさらないのだろう。パフォーマンス好きの宰相ならば、ひょっとしてとは思ったのだけれど。


今 日の夕刊(朝日新聞)の文化欄に、佐伯一麦氏の「ほろほろむかごの秋」という文章が載っていた。
ほろほろと むかごこぼるる垣根かな - 正岡子規

「むかご」は 自然薯 じねんじょ が、蔓の途中の葉腋に 拵 こしら える「おでき」のようなものだ。大きさは長径が1センチ程度で、一枚一枚の葉の付け根にできるから、一つの蔓に結構な数の「おでき」ができる。

しかしこのおできは、自然薯の収穫が始まる晩秋11月頃になると土に落ち、やがて何年かするとまた自然薯を形成するという優れものなのだ。但し、畠で栽培されている山芋の場合には、むかごは土に落ちると殆どが腐ってしまう。

このむかごは食べておいしい。
ご飯に炊き込んで、むかごご飯にする。茹でて、或いは油やバターで煎り付けて塩味でいただく。串にさして団子のように付け焼きにするところもあるそうだ。
茹で立てのむかごに粗塩を振って口に含むと、ホクホクと崩れて素朴にも美味しいのだ。

佐 伯氏の文章によると、旧暦の八月一日(今年は新暦の九月四日)、つまり八朔の日には、むかごご飯を炊いて豊作を祈ったとのことだ。岡山県の風習だそうだ。


昔 「むかごと蜂の子」という随筆を読んだことがあって記憶に残っている。
動物性たんぱく質が不足がちになる信州では、蜂の子や、ゲンゴロウの羽をむしって焙烙で炒ったもの、それにザザ虫(トビケラやトンボの幼虫)やイナゴの佃煮を食べる。それが、近頃東京の高級料亭で「ふるさとの珍味」として出されると、目を剥くような高級料理に化けてしまう。
そんな内容の随筆で、その中にむかごの話も出てきたのだ。

思いついて書棚を探してみたが出てこない。うろ覚えだが、昔岩波書店からシリーズで出ていた、「物理の散歩道」(ロゲルギスト著)の一文ではなかったかという気がしてならない。しかし、この本は郷里の母の家に置いたままなので、今度帰省する時まで確認できない。

むかごも蜂の子も秋の食べ物だ。秋の味覚の王座は、最近では中国語や韓国語ばかり喋っているとはいえ松茸に譲るものとしよう。しかし、相変わらず日本語を喋り続けてくれているむかごの素朴な味は、やはり秋毎に一度はいただきたいものの一つである。





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最終更新日  2005.09.08 00:01:04
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