鬼ムスメの目にも涙 ―介護初心者の徒然日記―

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2022.04.10
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テーマ: つぶやき(165)
カテゴリ: 介護
父、94歳。

パーキンソンでもともと嚥下障害があったところ、食べ物による窒息で心肺停止。本人希望があったため蘇生してもらい、しかし低酸素脳症、蘇生後脳症のためICU入院中。本日28日目。


そう書くと、
94歳で延命?
とほとんどの人に思われると思う。


いろいろな考えがあることを承知で敢えて言わせてもらうならば、
人生は年齢ではなく、その人その人の生き方。
と思ってもらいたい…。


父は86歳のとき大腸癌がみつかり、そのときも

担当の医師が、非常に耳を傾けてくださり、その気持ちに私が応えましょう、と執刀してくださったのは本当に感謝しかない。そして再発もなく、ほぼ根治したのは、これも感謝しかない。

それから約7年。
3つだった仕事は「せめて2つ」になり、それも最近、「これだけは…」という1つ(1冊)になった。

父はパーキンソンが進むなか、毎日新聞を読んでは資料となる箇所を切り抜き、自分のノートや過去の資料を読んでは、コピーして貼り合わせ、コツコツとやっていた。(「いままでのやり方では、とても終えられないよ!やり方を変えたら」としょっちゅう私も言っていた方法だったけれど、本人はそのやり方でやり遂げるつもりだったのだろう)

だからこそ、私たち家族も、とっくに母の老老介護の限界を越えていたかもしれないなか、ギリギリまで在宅介護をして、仕事をとにかく遂行してもらおうとしていた。
父は、仕事ができなくなるから、常に入院を嫌がり、恐れた。そういいながら、何度も緊急入院はしたが、そのたび、仕事が遅れた、と父は嘆いた。時間がないんだ、と焦っていた。


今年の1月。
父に、延命希望とか、ちゃんと書いておいてよ、私たちが困るから、と書いてもらった用紙。
「延命を希望する」にチェックが入っていた。

そして、たしか1〜2ヶ月前の夜中。父はベッドの上で辛い体勢になり、苦しかったらしく、襖の向こうから聞こえてきた父のか細い叫び声。

「助けてくれ。

まだしにたくない!」

94歳で、まだしにたくないと叫ぶんだ…と、私はちょっと驚き、この話を、(同じような環境の)友だちにまで半ば失笑しながら喋ったりしていた。

けれど、いま、この言葉が、私の心の真ん中にある。

父は、生きたい。
この仕事をやり遂げたく必死だった。




生きていれば奇跡が起こるかもしれない。
生きていれば、
生きてさえいれば…。


もう一つ、私がこう思う大きな理由は、11年前の、弟のこと。急な病気の発症から3日でなくなってしまった。
そのとき、遠方に住んでいた私は、長い闘病生活になるだろうという見込みのもと、すぐに駆けつけず、仕事もあるからと、その3日後に東京に行くことにしていた。その東京に行く予定の日の早朝、突然、弟はいってしまった。間に合わなかった。
東京に着き、知ったのは、本人の意思を確認することなく、延命治療は希望しないと家族がサインしていたこと。しかもそのサインをした家族は、サインしたことも同意したことも記憶にない、と言う。 説明は受け、同意したことは間違いないので、これはこの家族(高齢者)の問題。本人を 責めていまこれを言っているのではなく、当時すでにその家族は、物事を理解し、判断する能力がなくなっていたのだ(緊急事態に際してだけだとしても)と思い知らされた。

あのとき延命していたら、弟は、何年も生き延びることはできなかったとしても、あのようななくなり方はしなかったのではないか…その思いは、11年たったいまも消えない。

だからこそ、父の介護にあたり、その二の舞いにさせまいと東京に戻り、同居してきた。私が守るつもりだった。
なのに、恐れていた事態が起こってしまった。

私はその責任感から、必死になっているのか? 自分のためなのか?と反問することがある。
その可能性も思いつつ、
私は、生きたがっている父の姿を知る家族として、その姿を医師に伝え、生きることが父の希望と信じて、いまは進むしかないと思っている。






医療逼迫のなか、これは家族の我儘かもしれない。読んでいて共感は得られないかもしれない。そして、この思いに耳を傾けてくださりICUで治療してくださっている先生方には感謝しかない。
このように思い信じる人間と家族もいるという事実として、敢えてここに書こうと思いました。
お詣りに来ているお寺の庭で、これを書いています。





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最終更新日  2022.04.16 11:11:19


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