まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2007.10.29
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カテゴリ: NHK朝ドラ
NHK、朝の連続テレビ小説。

いままでのところ、ずっと驚きが続いています。

回を重ねても、
脚本のクオリティがまったく落ちない。
むしろ、だんだん高まってる気がする。
すごいです。

脚本家の藤本有紀に関心をもったのは、
去年の『ギャルサー』のときでした。

しかも、原作があるわけじゃなく、
まったくのオリジナル脚本だったという点が驚きでした。

オリジナルの脚本にもかかわらず、
あれだけの独創的(≒荒唐無稽)な舞台設定を作り上げ、
しかもその中で高密度のエピソードを重ね、
同時に、きちんとしたメッセージも込めていました。

オリジナルの脚本で密度の濃いドラマを作るのは難しいと思っていただけに、
『ギャルサー』は本当に凄いと思った。

そして、
今回の朝ドラにも、またあらたな驚きを感じています。

NHKの朝ドラというのは、

ドラマの密度を毎回の放送で維持し続けるのはかなり難しいと思う。
それにもかかわらず、
藤本有紀は、その豊富なアイディア、巧みなテクニック、全体の構成力、
すべてにおいて抜きん出た力量を、惜しみなく見せつけてると思う。

週ごとのタイトルがいつも駄洒落になっていて、

そして、クドカンが『タイガー&ドラゴン』でやったのと同じように、
物語や、ドラマの色んな要素が落語の古典に引っかけて作ってある。
この着想じたいは、もちろんクドカンの二番煎じなんだけど、
でも、二番煎じであることが欠点だとは感じさせないくらい、
その“お題”のさばき方はじつに見事です。
かといって、一般の視聴者にとって難解な内容になるわけでもない。
そうした“お題”をたくみに料理しながらも、
毎朝のエピソードにはちゃんとした見せ場があり、
たんに技術的なうまさに終始するだけじゃなく、
物語には心を打つような感動もあるし、
胸に響くメッセージもちゃんと込められてる。


ドラマの核心部分は、
決して大ざっぱなものじゃなく、
むしろ、人の心の、ささやかで、細やかな機微のほうに目が向けられています。
設定とか構成はすごく大胆なのに、
テーマやメッセージはとても繊細なところにある。

このドラマをとおして、
藤本有紀という脚本家の、驚くほど抜きん出た力量が、
あらゆる意味で毎朝証明され続けてる、という状況です。

他方、
演出も抜かりないし、キャストの演技も文句なしです。
もとの脚本自体にもほとんど破綻がないと思うけど、
脚本と演出の間にも、今のところ破綻が見えない。
脚本の意図だけでなく、微妙な「間」の部分まで的確に演出してるのが素晴らしい。
キャストの人たちの演技もみんなレベルが高いです。

和久井映見もよかったけど、渡瀬恒彦もまったくもって素晴らしい。
「寝床」の面々は、やや“御愛嬌”といえる演技だけど、
メインのキャストも、サブのキャストも、かなり良いと思える。

コメディ・ドラマでの演技センスということでは、
同世代の上野樹里ちゃんが、一足先に一般の評価を定着させた感じだけど、
このドラマのなかで、貫地谷しほりちゃんも評価を得ることになりそう。


このドラマ、視聴率が良いわけではありません。
旧来の視聴者は、内容の良し悪し以前に、
ドラマの舞台設定にそもそもなじめていない、というのが実情だと思う。
物語の入り口の舞台を福井の田舎町に設定したのは、
そういう旧来の視聴者に対する配慮もあったとは思うんだけど、
それでも、やっぱりなかなか視聴率的には厳しいようです。

けれど、
そのことをもって今回の作品を「失敗」とするのでは、
作り手側だってやる気をなくすし、
見るほうだって見る気をなくします。

視聴率の結果はともかく、
今回の作品は、いまのところ明らかに「成功している」というべきです。




※現在、​ 音楽惑星さんのサイト ​にお邪魔して「斉藤由貴」問題を考えています。






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最終更新日  2024.06.20 16:57:38


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