まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2022.01.12
XML
冬天よ母を泣かせて来る街か 日溜りで辿る僅かな年賀状 東雲の空に挑みし初漁の 瞼をも突き抜け照らす冬の朝 昨夜よりも痩せたる母や日向ぼこ 凍空の窓をゴンドラ紅茶の香 縫い初めの楽屋朝日は母にさす

お題は「カーテンを開けた瞬間」。

今回も「異議あり!」ってほどのことじゃないけど、
個人的な感想です。





福田麻貴。
冬天よ 母を泣かせて来る街か


75点で1位。
あまり見たことないような高得点。

後段は、

(もしくは反語)
全体が主人公のセリフの形式で書かれています。

こういうセリフ形式は東国原に多いですよね。

たとえば、


"子規に似た蝗がおった、食うたった!"
"ラフレシアも秋夕焼も人を食うか?"

などなど。

ほかにも、
伊集院光の、
濡れ鼠 "せめてどこぞの喜雨であれ!"
レイザーラモンRGの、
"寝見過ごす野山の錦にまず詫びろ!"
などがあります。

こうしたセリフの句は、
文字どおり「心の声」なので、

その言葉の向こうに、
いかに実景を見せるかが難しいところだと思います。

なお、
下五の「来る」が漢字なので誤読の可能性は低いですが、
かりに、

などと書いた場合、
「母が街に泣かされている」とも誤読されかねないので、
そこは、ちょっと気になる点です。



梅沢富美男。
縫い初めの楽屋 朝日は母にさす


これも母の句。

注目すべきなのは、中七の助詞「は」の効果。
客観写生なら「朝日 母にさす」とするところです。
また、動詞がなくても、
「朝日が母へ」「母へ朝日」と書けば描写は足ります。

さらにいえば、
「母/縫い初め」が実質的な「主語/述語」であるのなら、
わざわざカットを割って取り合わせにしなくとも、
縫い初めの楽屋の母の手に朝日
のようにワンカットに出来ます。

番組では、
助詞「は」について《強調》だと説明していました。

わたしは、あくまで《限定》の意味合いだと感じますが、
それは「朝日だけが」という《限定》ではなく、
むしろ「母にこそ」という《限定》のように感じられます。

最後の動詞「さす」は《念押し》ってことでしょうか。



森口瑤子。
昨夜 よべ よりも痩せたる母や 日向ぼこ
昨夜 ゆうべ より痩せしか 日向ぼこの母
(添削後)

これも母の句。

「冬日向」などの光景に取り合わせるならまだしも、
「日向ぼこ」という行為と取り合わせると、
まるで主人公が、病気の母を差し置いて、
呑気にくつろいでるように見えてしまいます。

日向ぼこの主語が「母」であるのなら、
わざわざカットを割って取り合わせにする意味はない。
むしろカットを切らずに「母の日向ぼこ」とすべきです。
(添削では「日向ぼこの母」として人物で締めています)

また、一般に「痩せる」というのは、
(かならずしも体重ではなく)見た目のことでもあるから、
「昨夜より痩せる」という表現があながち不正確とはいえないけど、
添削では「痩せたり」という客観的な断定の形を避け、
主観的な疑問の形に直しています。



大久保佳代子。
日溜りで辿る僅かな年賀状
日溜りに広ぐ 僅かな年賀状
(添削後)

年賀状の束のなかから目当ての名前を辿るのならともかく、
数少ない年賀状のなかから、いったい何を辿っているの?
…と思ったら、
本人いわく「過去の思い出」を辿っているらしい。

読んでだけでは、その意図が伝わらないし、
ここは添削のように客観描写にとどめるのが妥当でしょう。

ちなみに、
年賀状の枚数が少ないのは、
年齢の問題というより、たんにメール時代だからでは?



筧利夫。
東雲 しののめ の空に挑みし 初漁の
初漁や 東雲の空はればれと
(添削後)

最後の助詞「の」の役割が不明瞭。
これも添削が妥当でしょうね。



渋谷凪咲。
瞼をも突き抜け照らす冬の朝
瞼貫く冬の朝日の眩しさよ
(添削後)

上五の助詞の「も」が説明的。
そして「突く」「抜く」「照らす」は動詞の3連打。

添削では、
助詞の「も」を省き、
複合動詞の「突き抜ける」を「貫く」に置き換え、
動詞の「照らす」を、名詞の「朝日」で代用しています。



キスマイ横尾。
凍空 いてぞら の窓をゴンドラ 紅茶の香
窓を拭くゴンドラ 凍空の紅茶
(添削後)

ヴェネチアの句なら1ランク昇格だったのに、
ビルの窓拭きの句だったので、あえなく現状維持(笑)。

たしかに「gondola」って、
漢訳するなら「籠舟」「箱舟」みたいな意味なんだろうけど、
あまりにも用途が多岐にわたって、よく分からない言葉です。

⇒こちらのサイト によれば、

もともと「貝殻」を意味する古代ペルシャ語の"Kondy"が、
古代ギリシャ語の"Kondis"になり、やがて"Kondura"になる一方、
ラテン語で"Gondus"になり、
さらに「揺り籠」を意味する"Cunula"と混じって"Gondula"になり、
これがイタリア語でベニスの運河の"Gondola"になった、

…っぽいことが書いてある気がします(←たぶん)。

ちなみに、
文物の起源がペルシャに遡れる場合って多いですよね。
メソポタミアとかインダスよりも、
じつはペルシャ文明のほうが早かったという説がある。




にほんブログ村 テレビブログへ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2022.01.12 10:20:06


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: