まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2022.05.21
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朝ドラ「ちむどんどん」について、


bunshun.jp/articles/-/54340

現在の【東京・鶴見編】の内容が、
しだいに《社会的なテーマ》へ踏み込むだろうと示唆している。

新潮の記事にも同様の予測があります。

https://www.dailyshincho.jp/article/2022/05160601/

これらの記事は、
ある程度、NHKからのリークなのかもしれません。

一方、ヤフコメなどでは、
例によって「朝ドラが社会問題など扱う必要ない!」との大合唱です。



しかしながら、結論をいえば、
朝ドラがこれまで《社会問題》に触れなかった試しはありません。
どの作品も、何らかのかたちで社会的なテーマに触れている。

たとえば「純情きらり」や「カムカム」は、
敵性文化を弾圧した戦時下の国家方針や社会風潮に反して、
ジャズを演奏したり、英語を学んだり、
あるいは戦後に米兵と結婚したりした人物の葛藤の物語です。

たとえば「エール」は、
戦時中の経済的・社会的な要請に応じて、
国民感情を奮い立たせるような戦時歌謡を作りつづけ、
戦後になって批判を浴びた人物の物語です。


そうした朝ドラの《社会的側面》をスルーしたところで、
NHK自身がそれをスルーしていいという理由にはならない。
公共放送であるかぎり、
たんに視聴率やSNSの反応だけを価値基準にはできません。




20年前の「ちゅらさん」などは、
いわゆる《沖縄問題》を回避して物語を作っていた感があります。
とくに主人公の恵里が上京して以降は、
ほとんど沖縄とは無関係な弛緩しきった展開に終始していました。

それでも、当時としては、
あのドラマが沖縄への関心を高める役割を果たしていたのですね。



かたや「ちむどんどん」の場合は逆です。

これまでの【沖縄・やんばる編】では、
沖縄戦の問題にも、復帰の問題にもほとんど触れなかったけれど、
むしろ今後の【東京・鶴見編】でこそ、
主人公は本格的に「沖縄問題」に直面することになるのだと思う。



レストランのオーナーである原田美枝子は、
沖縄人が本土社会に適応するための葛藤を経験した人物であり、
おそらく、そのために何かを犠牲にしてきた人物ですよね。

かたや県人会会長の片岡鶴太郎は、
本土社会に適応できない沖縄人たちの苦悩を見続けてきた人物。

さらに、主人公は、
彼らとの交流のなかで、
両親の過去の苦難についても知ることになりそうです。

また、
沖縄の社会に甘えつづけていた兄も、
本土の社会では本格的な苦渋を味わうのかもしれません。



このドラマにおける「貧困」というテーマが、
たんに比嘉家の問題として描かれているにすぎないのか、
それとも逃れようのない《沖縄問題》として捉えられていくのか、
その点も、これから明らかになっていくでしょう。

萌歌が演じている歌子は、
折にふれて「椰子の実」を歌っているけれど、
あれはおそらく「沖縄の歌」というより、
むしろ 「沖縄から流れ着いた者たちの歌」 なのですよね。

そう考えると、
このドラマが本格的に《沖縄問題》を描くのは、
やはり主人公たちが上京して以降なのだろうと思う。



ところで、
先週までの【沖縄・やんばる編】では、
脚本や演出に対する視聴者からの批判があふれかえりました。

わたしも、現時点では、
この朝ドラの出来がいいとは思っていません。
しかし、【東京・鶴見編】に入った今週にかぎっていえば、
けっして悪い内容ではなかったように思う。

ようやく核心的なテーマに近づいてきて、
物語の焦点がハッキリしてきた感があります。

ただ、
アンチみたいな視聴者がいちど連帯しはじめると、
なかなか簡単にはその論調を変えようとしないので、
いまもSNSでは、
ほとんど揚足取りみたいな批判が幅を利かせています。

その多くは「バカ兄貴がムカつく!」といったように、
特定の登場人物への反感をドラマの評価と同一視するパターンですね。
※バカ兄貴がムカつくのは「なつぞら」も「カムカム」も一緒なのだけど…(^^;

まあ、厳しい評価は今後もしばらく続くでしょう。



とはいえ、
今後の内容が《社会的なテーマ》に切り込み、
国内の「加害性」と「被害性」の問題にまで触れるとなれば、
視聴者の賛否両論の質もおのずと変化するはずです。

それは、もはや、
脚本や演出の技術的な問題などではなく、

NHKの《社会的なテーマ》の扱い方の是非について、
あるいは《社会的なテーマ》に触れることそれ自体の是非について、
視聴者の賛否が割れていくことになるはずです。

そもそも、
そうした賛否を巻き起こすぐらいに踏み込まなければ、
今回の朝ドラの存在意義が認められることもないでしょう。

もはや「ちゅらさん」の二番煎じでは済まされないし、
ただ復帰50年にかこつけたアリバイ作りでも済まされない。

あらたな視点で《沖縄問題》を炙り出さなければなりません。




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最終更新日  2022.11.08 12:57:45


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