まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.05.15
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夏シャツのコロッケ百個下げて来る 扇風機衣装脱ぎつつ出前表 夏期講座の帰路「WOW WAR TONAGHT」聴く 嗚呼幾度目のピンマイク還暦の初夏 猛る友抱くや白雨のアスファルト ほんたうは優しいくせに青山椒 青梅雨やビンタを愛に昇格す 66穿くレジェンド薫風の温泉へ タイトルコール飛び立つ初夏の鳩よ 短夜や秒でやり取りするLINE 浜ちゃんの笑い声慈雨の風鈴 還暦の朝大幟投げ上げよ 辞表書きダウンタウンを見る五月 МCのちゃん付け憎しアイスティー お前しかおらん改札若葉風 摘まるるな棘あればこそ野薔薇ぞ 伝説がどかんどかんと夏に入る 不屈の漫才師客知らぬ背汗 汗光る結果発表の声の鞭 風死す初ライブツッコミただ痛し
プレバト俳句。
お題は、還暦の「浜田雅功」。

くわしい説明はありませんでしたが、
いつもとは評価基準が違っていたようです。

通常なら、
兼題を知らずとも内容が伝わるかどうかを問われるけど、
今回は、
あらかじめ「浜田宛て」という前提で鑑賞するルールっぽい。

さらに、




勝村政信。
青梅雨や ビンタを愛に昇格す
青梅雨は豊か ビンタは愛である
(添削後)

これは7位の句。

この先生の添削は、もし兼題を知らなければ、
たんなる「パワハラの正当化」と解釈されかねませんが、
今回は「浜田宛て」という前提なので、
そういう反社会的な内容でも許されるようです。



犬山紙子。
辞表書きダウンタウンを見る五月
ダウンタウンに笑う 五月の辞表書く
(添削後)

これは13位の句。

兼題を知らなければ、

添削しても、そういう誤読の余地は消えていません。

でも、今回は「浜田宛て」という前提なので、
はじめから誤読の可能性は排除されているようです。



こがけん。
伝説がどかんどかんと夏に入る




かりに「浜田宛て」という前提がなければ、
まったくもって意味不明な内容ですが、
今回は、その点を問わないのだろうと思います。

中七の「どかんどかん」は、
いまや観客の爆笑の擬態語として定着している。
上五は、
ダウンタウン自体を「レジェンド」と見なしたとも読めるし、
そのライブが現在進行形で「伝説」になっているとも読める。

問題は、下五の「夏に入る」ですね。
これは立夏を意味する季語なので、
通常なら「○○が夏に入る」という言い方はしません。
なので、この表現を独創的と見るか、
ただのおかしな日本語と見るかで判断が分かれます。
Tverでの解説によると、
先生は、この表現を肯定的に評価していたようです。

それでも順位が低いのは、
全体が比喩的な語彙で構成されていて、
具体的な実景を見せる力が弱いからでしょうね。



森口瑤子。
ほんたうは優しいくせに 青山椒


これは6位の句。
いわゆる「挨拶句」の模範とされました。
上五・中七で相手への言葉を述べ、
下五に季語を添えて差し出す形ですね。

兼題を知らずに読めば、
「青山椒」の一物仕立てのようにも見えてしまうけど、
そうじゃないってことですね。

今回の評価基準を考える上でも、
この句がひとつの模範になる気はするし、
たしかに、こういう様式で俳句を詠むのも、
お洒落な文化だなと思いました。

森口俳句として見ると、
「だってば」的な作風も出ており、
上五の「ほんたう」という文語表記には、
なんとなく照れ隠しっぽい可愛らしさも感じます。




…ってなわけで、
評価基準やルールを明確に説明できないところに、
あらためて夏井俳句講座と番組の「曖昧さ」を感じますが、
これはいまに始まったことじゃないし、
Youtubeチャンネルを見ていても同様の「曖昧さ」は見受けられます。
もともと近代俳句界は世襲制の結社文化だから、
「曖昧なルール」を呑み込めない人間は排除する形で続いてきたのだし、
みずから疑問を抱くことを禁じた信者・弟子・親族しか残らなくなる理由も、
そういうところにあるわけですよね。


ともあれ、
ここからは順位どおりに見ていくことにします。


梅沢富美男。
夏シャツのコロッケ百個下げて来る


これが1位。

たしかに、
「夏シャツ」「コロッケ百個」「下げて来る」の要素に、
すべて"浜田っぽさ"が感じられますし、
今回のテーマからすれば、
これが文句なしの出来だったかなという気がします。

なお、コロッケ1個100円とすれば、

高級なコロッケなら1個500円くらいするんでしょうね…。




フルポン村上。
扇風機 衣装脱ぎつつ出前表


ここで詠まれてるのは、
吉本劇場「なんばグランド花月」の一場面とのこと。
TVの浜田しか知らない視聴者には、ちょっと分かりにくい。

個人的には、浜田よりも、
むしろ楽屋の梅沢の姿をイメージしてしまいました。



皆藤愛子。
夏期講座の帰路「WOW WAR TONAGHT」聴く


8+10=18の句またがり。

これも浜田宛ての句材として申し分ないし、
記憶のなかの夏の光景にも実感がこもっています。



的場浩司。
猛る友抱くや 白雨のアスファルト


いかにも的場らしく血の気の多い作風。
激しい感情と、激しい雨の音。
白雨と灰色のアスファルトの色彩のコントラスト。

格好良すぎるくらいにドラマティックだけど、
たしかに「80年代=ヤンキー=浜田」のイメージに違わない。



キスマイ千賀。
嗚呼幾度目のピンマイク 還暦の初夏
幾度目のピンマイク 還暦の初夏
(添削後)

浜田の40年余りの芸歴で、
かりに1日1回ピンマイクをつけるとしても、
およそ15000回ぐらいになりますよね。

この「幾度目」という言い方では、
数千・数万という回数を思い浮かべるのは難しいし、
もし兼題を知らなければ、
わずか数回という解釈もありえるだろうと思う。

もしかすると、
わざわざ「嗚呼」を加えて19音にしたのは、
その膨大な回数を言い表す意図かもしれませんが、
あまり効果的とも思えません。



キスマイ横尾。
(浜田雅功さん還暦) 66穿くレジェンド 薫風の温泉へ
(浜田雅功さん還暦) 温泉へ行こう 薫風のリーバイス (添削後)

梅沢に「詰め込みすぎ」と言われてましたが、
対句形式で「AのB/CのD」と詠む横尾の句またがりは、
A、B、C、Dの4つの要素を組み込むことになるので、
もともと、そうなりがちではあるのよね…。

しかも、
「66」「レジェンド」などの言葉の経済効率の良さが、
余計にギチギチした感じを強めてしまったかもしれず、
そのへんの匙加減は、なかなか難しいところです。



千原ジュニア。
タイトルコール 飛び立つ初夏の鳩よ


作者の話によると、
「鳩が大声に驚いて逃げ飛んだ」ってことなのだけど、
その場面を希望を込めて爽やかに美化した結果、
かえって浜田っぽさが薄れてしまった …というオチ。



フジモン。
短夜や 秒でやり取りするLINE


これは「浜田宛て」という前提で読むにしても、
ちょっと状況が分かりにくいし、
前段と後段が因果関係になってるようにも見える。

たぶん作者としては、
「夜までも浜田みたいにせっかちで短い」
という意図だったのでしょうね。



立川志らく。
浜ちゃんの笑い声 慈雨の風鈴
浜ちゃんの呵々 慈雨に鳴る風鈴よ
(添削後)

原句も、添削句も、17音の句またがり。
調べとしては添削句のほうが安定しています。

問題は、
「鳴る」を加えるべきかどうかだと思うけど、
(鳴らない風鈴があったら持って来い!)
たしかに原句は、笑い声と雨音だけがしていて、
いまいち風鈴が鳴ってないようにも感じます。

かりに作者自身が、
「浜田の笑い声」を「慈雨の風鈴」に比喩する意図だったとしても、
それを実景と見なす読み手は、
たんに「笑い声」「雨音」「風鈴」の聴覚情報が重なってるだけ…
と解釈してしまうのですよね。



中田喜子。
還暦の朝 大幟 おおのぼり 投げ上げよ
還暦の朝を掲げん大幟
(添削後)

原句の「幟を投げ上げる」は、
(描こうとしてるイメージは分かるけど)
平仮名にすると「のぼり、なげ、あげ」でもあり、
重複した意味の動詞を連ねるようなクドさも感じる。



馬場典子。
МCのちゃん付け憎し アイスティー

(MC浜田さんへ) ちゃん付けで初めて呼ばれアイスティー (添削後)

作者は「憎し」をポジティブな意味で詠んだらしいけど、
その意図が読み手には伝わらないですね。



春風亭昇吉。
お前しかおらん 改札若葉風
お前しかおらん 若葉風の改札
(添削後)

原句は句またがりの17音。
添削は助詞を加えて18音。

個人的には、
「改札若葉風」と名詞だけを点描するのも、
なかなか新鮮味のある書き方だと思ったし、
あえて添削する必要もない気がしました。


追記:

原句も添削句も、
前段が《セリフ》で後段が《場面描写》の二句一章ですが、

原句は、
「お前しかおらん改札 / 若葉風」の二句一章とも誤読できるし、
「お前しかおらん / 改札 / 若葉風」の三段切れとも誤読できる。
添削句も、
「改札」だけを詠んだ一物仕立てと誤読できてしまう。

たとえば、
「お前しかおらん」改札に若葉風
お前しかおらん!改札に若葉風

のように、
前段が《セリフ》であることを明示すれば誤読の余地はなくなります。



武田鉄矢。
摘まるるな 棘あればこそ野薔薇 のいばら


クサい比喩によるクサい教訓でした(笑)。



森迫永依。
不屈の漫才師 客知らぬ背汗 はいかん


Tverの先生の解説によれば、
どんな漫才師にも当てはまる内容なので、
浜田らしさという面が弱い、とのこと。

まあ、森迫永依は、
浜田との付き合いがまだ短いし、
今回はちょっと不利な兼題でしたね。

なお、後段のフレーズは、
「客が知らぬ背汗」なのか「客を知らぬ背汗」なのか、
ちょっと読み迷います。



キスマイ北山。
汗光る 結果発表の声の鞭


もし「浜田宛て」という前提がなければ、
下五の「鞭」という比喩によって、
厳しい試験や競技などの場面だと分かりますし、
中八は「結果を告げる」とすれば解消できます。

しかし、
おそらく「浜田宛て」だからこそ、
あえて中八で「結果発表」と書いたのでしょう。

その反面、下五はかえって凡庸な比喩に思えます。
季語も「冷や汗」の意味だとすれば、季節感に乏しい。



パックン。
風死す初ライブ ツッコミただ痛し


Tverの本人解説によれば、
浜田のツッコミを真似たマックンのことを詠んだらしい。
おそらく「痛し」はダブルミーニングなのでしょうね。
通常の俳句としてなら成立している気がします。





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最終更新日  2023.06.22 07:09:09


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