まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.05.22
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旗楊枝忍ばす半ズボンのポッケ 武術一位薫風のお子様ランチ 惜春のメニューに憶う母の影 添えられる家族の笑顔とさくらんぼ 溽暑のファミレス机上の通知表 矯正箸はちりめんじゃこを摘まみけり 日の丸とグリンピースの残る皿

お題は「お子様ランチ」。



梅沢富美男。
日の丸とグリンピースの残る皿


梅沢の俳句は文法的な瑕疵も多いけど、
こういう一句一章・一物仕立てのシンプルな形式なら、
散文と変わらないので、文法を誤る恐れも少ないし、
梅沢には合ってるんじゃないでしょうか。

この句の型破りな点は、

けっして美味しそうな主役として描かれたのじゃない、ってこと。

しかし、
大人の食べ残しは不味そうに見えるけど、
子供の食べ残しなら、むしろ微笑ましくも見えるわけで、
それは梅沢の「ピクルス」の句と同じ発想でしょう。

考えようによっては、
グリーンピースの向こう側にいる可愛い子供にこそ、
爽やかな初夏を感じる、ともいえます。



千原ジュニア。
矯正箸はちりめんじゃこを摘まみけり
矯正箸の先にちりめんじゃこ笑う
(添削後)

季語は「しらすぼし/ちりめんじゃこ」で春。


子供の微笑ましさや明るい気分を損なってる感じもする。
この「けり」の捉え方は読み手によって違うかもしれません。

先生の添削は、梅沢の句と同様に、
擬人化されて笑う「ちりめんじゃこ」の向こう側に、
子供の春らしさを見る、という構造に思えます。



森迫永依。
溽暑のファミレス 机上の通知表


講評では破調であることが強調されましたが、
8・9の句またがりならプレバトでも珍しくないし、
とくに韻律上の不穏さを感じるほどでもありません。
なんなら8・7・5にして、
後段のリズムを「机の上の通知表」と整えることもできる。

それでも、
テーブルに通知表が置かれているだけで、
重苦しい雰囲気なのは読み手に伝わるし、
冷房の効いたファミレスで、
屋外の溽暑が、じわりとした冷や汗に変わる感じも分かる。

なお、作者自身は、
親と対面してる状況を詠んだようですが、
一人の場面として読むことも出来ると思います。



ビスケットブラザーズきん。
旗楊枝忍ばす半ズボンのポッケ
旗楊枝こっそり 半ズボンのポッケ
(添削後)

夏の季語「半ズボン」だけでも小学生に見えますが、
ポケットでなく「ポッケ」と書いたことで、
小学生描写を確定的にダメ押ししています。

それだけに、
「忍ばす」という大人びた動詞を選択したのは惜しい。



山本千尋。
武術一位 薫風のお子様ランチ
(武術大会一位) 演武服のまま薫風のエビフライ
(添削後)

添削では、音数が多くなるのを避けて、
「お子様ランチ」を「エビフライ」に変えています。
しかし、その結果として、
子供ではなく、
青年ががっついてるようにも見えるし、
老師が不釣り合いなものを食べてるようにも見える。

やはり、この句の面白さは、
あくまでも「武術家が子供だ」という点にあるわけだから、
音数が多くなっても「お子様ランチ」のままにすべきです。

どうしても音数を抑えるのならば、
たとえば8+10で、
演武服のまま初夏のお子様ランチ

とでもするしかありません。



筧利夫。
惜春のメニューに憶う母の影
惜春のお子様ランチ 母よ母よ
(添削後)

原句の「メニュー」は、
"メニュー表"とも"料理そのもの"とも解釈可能です。
後者であれば、
コース料理のようにも思えるし、
母のレシピどおりに自分で作った料理とも思える。

後半の「憶う母の影」はまるごと凡人フレーズでした。



西山茉希。
添えられる家族の笑顔とさくらんぼ
お子様ランチ 笑顔とさくらんぼ添えて
(添削後)

季語は「さくらんぼ」で夏。

兼題写真を見なければ何のことか分からない。

もしかしたら、
上五に修飾語の受け身動詞を持ってくるのは、
俳句としては斬新なのかもしれないけれど、
最後まで読んでも、
結局「何に添えられているか」が分からないのよね。

そもそも俳句の取り合わせは、
何かに何かを「添える」ことなのだから、
お子様ランチ 父母の笑顔とさくらんぼ

と書けば、その動詞は必要ありません。

どう直しても、凡句にしかなりませんが(笑)。





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最終更新日  2023.05.29 05:35:42


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