まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.07.12
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冷やし中華明日も朝練あるってよ 夏風やふるさと恋し甘酢の香 玉の汗金糸玉子を刻む子や 冷やし中華残りし胡瓜母にらむ 遠き日の銀座冷麵待つもよし 炎天の列や限定二十食 町中華日傘を開く最後尾

お題は「冷やし中華」。




水野真紀。
冷やし中華 明日も朝練あるってよ


学食ならともかく、
中高の下校時に冷やし中華を食べたことがないので、
てっきり友人との会話じゃなく、母との会話かと思いました。

でも、
これは友人との「部活やめるってよ」的な言い回しなのかな?


なお、
古語の「あした」と「あさ」は同義語だし、
しかも「あした」と読めば中八になるのだけど、
ここはセリフなので、やはり「あした」と読むべきですね。
(くだけた口語で「あす」と言う人はあまりいない)

最後が「ん」で終わってることもあり、
中八で読んでも、さほどリズムの違和感はありません。



弓木奈於。
夏風や ふるさと恋し 甘酢の香
ふるさとの夏風恋し 甘酢の香
(添削後)

中七を「故郷 こきょう 恋しき」と連体形にすれば、


とはいえ、かりに、
夏風や 故郷恋しき冷やし中華

だったら、
ほとんどキング・オブ・ザ・凡人ですw

それを「甘酢の香」と対象を絞っただけで、
だいぶ詩情とオリジナリティが増すってことでしょうか。

追記:

なお、
原句は「都会にいて故郷を懐かしんでいる」と解釈できますが
添削句は「帰郷して、その夏風を浴びている」との描写に変わっています。
その意味で、これは添削というよりも改作になっています。

形容詞の「恋し」は、
本来は《無いものへの憧れ》を表す形容詞ですが、
場合によって《目の前のものと離れたくない》という意味で使われることもある。
この添削句も、季語を現物として解釈するならば、
後者のように「この故郷の夏風と離れたくない」という意味になるはずです。

そもそも、一般論をいえば、
俳句の客観写生において「恋し」はNGワードですよね。
無いものに対する感情語ですから。




八嶋智人。
玉の汗 錦糸玉子を刻む子や
錦糸玉子きざむ子の指 汗の額 ぬか
(添削後)

もしや「玉×2」「子×2」の言葉遊び?

セオリーに反して下五に「や」を置きましたが、
切れ字を用いずに「刻む吾子」とすれば解決します。

ただし、やはり語順としては、
季語の「汗」をクローズアップにして終えるべきですね。
言葉遊びの要素を残す意味でも、
下五は「玉の汗」のままでもいいと思うけど。



椿鬼奴。
冷やし中華 残りし胡瓜 母にらむ
冷やし中華 胡瓜残せばにらむ母
(添削後)

下五の「母にらむ」ってのは、
俳句としてはとても悪い用例だと思うのだけど、
「私が母を」「母が私を」「母が胡瓜を」
という3通りの読みが可能になってしまいます。

そして、
作者によれば「母が私をにらむ」なので、
リズムのみならず、意味のうえでも三段切れですね。
(「胡瓜をにらむ」なら三段切れではない)

なおかつ、季重なりですが、
「胡瓜」が「冷やし中華」の付属物と考えれば、
主たる季語は「冷やし中華」になるのでしょうか?



中田喜子。
遠き日の銀座 冷麵 ひやめん 待つもよし


あくまで《現在を詠む》という原則からすれば、
「遠き日の銀座(を想いながら)冷麵を待つのもよし」
との解釈になりますね。

…というよりも、
「遠き日の銀座(を想えるので)冷麵を待つのもよし」
との因果関係を感じさせるところに、
かえって面白さと味わいがあります。



キスマイ横尾。
炎天の列や 限定二十食


句またがりですが、
横尾にしては、切れ字も入って定型感のある仕上がり。

たんに描写的なだけで、
いまいち詩情がない?…って気もしますが、
逆にいうと、私情を排したリアリズムで、
臨場感があるってことですね。



千原ジュニア。
町中華 日傘を開く最後尾


庶民的な「町中華」と、
エレガントな「日傘」の取り合わせ。
弱音の「hi」の頭韻もエレガントな印象です。

女性の姿を詠んだとのことで、
ジュニアにしては珍しく洒落た作風でした。





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最終更新日  2023.07.13 17:18:56


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