土佐の中学校の教師で、生徒が見つけたヤッコソウを牧野に送った山本一 、高知高等学校の教授を務め、キレンゲショウマを発見した吉永虎馬、そして11歳から富太郎の弟子となった植物学者の小山鉄夫さんがいます。
猶は岸屋の番頭だった井上和之助と“再婚”しています。なお、富太郎が初めて上京した時に同行したのは井上の前に岸屋の番頭を務めていた佐枝竹蔵の息子、熊吉でした。
波多野泰久のモデルは染谷徳五郎と池野成一郎。
岸屋の経営が傾いたのは造石税による酒蔵への増税だけでなく、富太郎への巨額の仕送りも原因だったといわれています。ドラマ全体を通じて、富太郎の欠点はマイルドに描かれています。
龍馬の行動を詳しく調べ直したところ、慶応3年(1867年)の初め頃に下関で「風邪をひいた」と言って誰とも会っていない「空白の3日間」があるのを見つけました。前後に1日ずつ加えて5日あれば、船を使って土佐まで往復できます。そこで、迎えに来た侍に「下関にいることになっているんだから、目立つ行動はしないでくれ」というセリフを加え、万太郎が龍馬と会った可能性がゼロではないことを示すことにしました。
土佐は板垣退助が自由民権運動の中心にいたことで、中江兆民や植木枝盛など、著名な民権運動家を多く輩出しました。こうした多くの民権家たちの行動を重ね合わせて早川という人物が生まれたといえます。植木は造石税への転換による大増税で苦しんでいた全国の酒蔵に呼びかけて、酒税軽減を訴える「酒屋会議」を大阪で開いているので、民権家の中でも酒屋とは縁が深い人物ですね。
最初の台本では高藤は華族、具体的には父は公爵で跡継ぎ息子の高藤は子爵、とされ、名前も「雅也」でした。子爵という設定をやめると、なぜ高藤が政府高官と顔なじみなのか説明できなくなってしまいます。制作側と相談の結果、幕末の海外留学生たちの経歴を借りることにしました。長州(山口県)から留学した「長州ファイブ」は5人しかいないから架空の人物を加えるのは難しいけれど、「薩摩スチューデント」は20人ぐらいいるから何とかなる、ということで、高藤は薩摩出身になったわけです。
富太郎をかばい、時に叱ってくれたのは動物学者の箕作佳吉でした。ドラマでは美作秀吉という人物が登場しています。出世欲が強く、田邊と廊下ですれ違うたびに敵対心をむき出しにした嫌味を言っていましたが、それは、同じ時期に帝国大学にいた箕作の実兄、数学者の菊池大麓のキャラクターを美作に加えているからで、実際の箕作はそんな人ではありません。一方で、菊池は矢田部と非常に仲が悪く、互いに派閥を作って帝国大学理科大学の学長の座を激しく争っています。
ドラマでは初代文部大臣の森有礼が明治22年(1889年)に暗殺され、森の片腕と目されていた田邊が後ろ盾を失ったことを非職の一因のように描いていました。史実では矢田部も菊池も森の開明的な教育方針を支持していましたから、矢田部が非職になったのは森の暗殺より、菊池との派閥争いに原因があったと考えられます。さまざまなポストを解任された矢田部が、植物学の研究に戻っていくのは事実です。
黄色人種やアジア人に対する差別はあったかもしれませんが、明治時代の留学生の報告書を見ても、「日本人は同じ学校に通うな」「同じ授業に出るな」といった差別を受けた記録はありません。
南方が富太郎にハチクを送って交流しようとしたのは史実ですが、富太郎は南方に会おうとしませんでした。これは東京帝大に迷惑をかけないためではなく、民俗学などにも手を出す南方を植物学者と見ていなかったからだと思います。
合祀令は地方改良運動の一環として行われました。合祀によって神社が立つ土地の権利関係を整理して課税不能な土地を減らし、税収増につなげる狙いがあったのですが、期待された効果が上がらないまま中止されています。
4月からNHKで放映中の #朝ドラらんまん の制作には,現役の植物分類学者たちが「植物監修」として関わっています。
— 日経サイエンス (@NikkeiScience) June 11, 2023
植物学と時代考証に基づくきめ細やかな監修から生まれる 『らんまん』のもう一つのドラマに迫ります。
日経サイエンス2023年7月号【特集:進化する植物愛】 https://t.co/A23XCWGl3H
朝ドラ「らんまん」長田育恵と南方熊楠。 2024.08.21
朝ドラ「らんまん」スエコザサのエロティ… 2023.10.04
朝ドラ「らんまん」最終回。スエコザサの… 2023.09.30
PR
キーワードサーチ
カテゴリ