まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.05.20
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雨の森独り空蝉見る少女 春雨や祖父の先ゆくかえる寺 おもい足夕立晴に笑顔かな 夏雨のシーンふと子らの着替え手が伸びる 靡けずも龍成る日を見る鯉のぼれ 断崖は驟雨三分ノーカット 本水の髪ざんばらに夏芝居 額にぽたり緑道の青時雨

お題は「雨降りのシーン」。



津田寛治。
雨の森 独り空蝉見る少女


ジブリ的なファンタジーっぽいけど、
形式的に瑕疵も過不足もなく整ってます。



結城モエ。
春雨や 祖父の先ゆくかえる寺


中七の助詞「の」は、

「私が祖父の先をゆく」
「祖父が私の先をゆく」

という真逆の読み方が出来てしまう。

そのうえ「先逝く」と誤読したら、
どちらかが先に死んで寺に埋葬された、
…みたいな意味になってしまいます。

たとえば、
春雨や 祖父に先立ちかえる寺
春雨や 祖父待たずしてかえる寺

とすれば主語は明確になるけど、
やはり「先に死んだ」という誤読を免れない。

子供らしい口語で、
春雨や 祖父を追い抜きかえる寺

のように書くのがいちばん妥当かもしれません。



梅沢富美男。
本水 ほんみず の髪ざんばらに 夏芝居
本水の髪ざんばらや 夏芝居
(添削後)


文法的に間違ってるわけではありませんが、
中七で切れてるのに助詞で繋がるように見えるのです。

じつはこれって、
前回の夏井添削、
教科書を忘れた君と 風薫る

と同様の過ちなのよね。



キスマイ横尾。
断崖は驟雨 三分ノーカット


定型感のある句またがりですが、
切れの位置が分かりにくく 「驟雨三分」 に見えてしまう。

おそらく前段は、
「断崖の撮影は予期せぬ驟雨だった」
という意味なのだろうけど、
それなら雨が止むのを待つはずだし、
わざわざ短い驟雨の合間に撮影するわけがない。

もしかしたら、
「カットできない撮影の途中で雨が降って来た」
ということかもしれませんが、

その場合は、字余りでも切れ字を加えて、
断崖に驟雨や 三分ノーカット

とするほうが明快だし、
さらに「三分」という情報を除いて、
ノーカット撮影 断崖に驟雨

とするほうが、
かえって描写の正確性は増すと思います。



笠原将。
なび けずも龍成る日を見る 鯉のぼれ
龍と成る日もあり 雨の鯉幟
(添削後)

だいぶ観念的な内容。
鯉が龍になる「登竜門」の故事にちなんだっぽい。

しかしながら、
上五は、本来なら「靡けず も」と書くべきだし、
そもそも「靡く」というのは受動的な意味なので、
あまりポジティブな印象の言葉ではないと思う。

中七の「龍成る」も、
「龍 成る」の省略ならともかく、
「龍 成る」「龍 成る」の省略ではありえない。

添削句にかんしては、
龍と成る日を待つ凪の鯉幟

としたほうが作者の意図に寄るのでは?





高島礼子。
おもい足 夕立晴 ゆうだちばれ に笑顔かな
重い足 おもい心へ夕立晴 ゆだちばれ
(添削後)

切れ字の「かな」で締める場合は、
途中で切れを入れるべきではないし、
夕立晴を描写したら「笑顔」と書く必要はない。

なお、
添削句の「重い」と「おもい」は、
なぜ漢字と平仮名を使い分けたのか不明。



トレエン斎藤。
夏雨 かう のシーン ふと子らの着替え 手が伸びる
夏雨 なつあめ のシーン 子役の着替え手に
(添削後)

破調の三段切れ。
とりあえず 「子らの着替えに手が伸びる」 と書けば、
三段切れが解消されて後段のリズムも整う。


しかし、そもそも、
テレビ画面の季語は鮮度が低いし、
テレビで雨のシーンを見たからといって、
現実には雨が降ってないのだろうから、
子供の着替えを準備する理由が分からない。

原句が意味不明なので、
添削のほうは必然的に改作となってます。



清水アナ。
額にぽたり 緑道の青時雨


季語は「青時雨」で夏。
緑の木々から時雨のように頭上に落ちてくる水滴のこと。

これは「青時雨」を説明しただけの句ですね。




▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2024.05.23 23:20:49


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